05 赤ん坊の日常?
午前二時に予約投稿しているのは仕様です
生まれてからしばらくたった。
およそ二ヶ月ほどたったのではないだろうか。
やはり、この世界は異世界であるらしい。
妖精がいるんだから異世界に決まっているだろうというかもしれないが、甘いな。
幼少期なら座敷わらしやお化けを見るという話をよく耳にするだろ。
つまり、自分も幼少期だから妖精に会えたのであってここは地球である可能性も大なり小なりあったんだ。
フランだって他の人の目には見えていないみたいだし、後ちょっと浮いているし、若干透けているからお化けの可能性が微粒子レベルで存在していたんだ。
だから異世界だと断定しなかったんだよ。
下手したらフランだって自分の妄想だけの存在でしたとかになりかねないからな。
だって、「異世界だ!」って断言した後にやっぱりただの地球でしたってなったら恥ずかしいだろ。
異世界だと確信した理由は母親に庭に連れ出されたときに見た、いかにもRPGとかに出てきそうな兵士が着ている装備をした人達が使っていた魔法だ。
いやー、あの時は感動したね。
だって人の手から水がとび出したり、兵士がなんか言うと剣が急に火を纏ったりするんだぜ。
前世でもアニメやゲーム、漫画や妄想で何度も見てきたことだけどぜんぜん違うね、生は。
本当に生っていいわー。
母親もそんな喜んでいる自分を見て微笑を浮かべていた。
その時メイド?と何か話していたけど、こういうところは父親似みたいとかそんなことを言っていたような気がするがよく分からなかったな。
残念ながらまだこっちの言語を完全に覚えたわけじゃないんだ。
おそらく感覚として中学二年生の英語ができるぐらいのレベルで言葉を理解できていると思う。
頭がいいのか子供だからなのか分からないが人の会話を聞くとまるでスポンジが水を吸うかのように覚えていけるんだけど、いかんせん子供の前で一日中しゃべってくれる人もいないし、なによりこの身体のせいなのかわからないけどめちゃくちゃ眠いんだよ。
朝日が昇るのをみてから寝て起きると日が沈むのをみるなんてことはざらにあるからな。
そう考えると、一日の半分くらいはやっぱり寝ているんじゃないだろうか。
いや、昼寝とかちょう気持ち良いのだけどね。
眠り過ぎっていうのもあるとは思うけど、分かりやすい会話をしてくれるのって、それこそ母親のおっぱいを吸うときか、恥ずかしい話漏らした時ぐらいだったんだよね。
だから初めは言葉を覚える上で大変だったよ。
まぁ、赤ちゃんの仕事とか寝て食べることが仕事ってよく言うからな、しょうがない。
あれ、今の自分の食べる仕事っておっぱいを吸う事だよな。
おっぱいを吸う事が仕事…最高じゃないか。
羨ましいだろ。
あ、ついでに母親の胸はD~Fぐらいはあるんじゃないだろうか。
あまりそういうのに詳しくないし、比較対象がないからよくわからないがなかなかの美巨乳だと思う。
もう一度いう、羨ましいだろう。
母親の名前はマーテルというらしい。マーテルという名前なのかニックネームなのか分からないけど周りのメイド服っぽい物を着た人の一人からそう呼ばれていた。
金髪で目は茶色のかなりの美人さんである。
さらになかなかにグラマーな体系でさらに美声持ちという非の打ち所が無い女性である。
もし、既婚者でないなら是非とも結婚したいレベルだ。
こんな人が母親だったら普通の人はマザコンになっても仕方が無いと周りの人も納得できるほどの美人である。
最近は昼に起きていても平気になったので声を出す練習や運動も行っている。
だけどまだ首が安定していないので激しい運動ができない。
なので今は、歌いながらストレッチしたり握力トレーニングしたりにとどめている。
その気になれば立てそうだけど危ないからな。
この間立てるか一人の時にチャレンジしてみたら後転しかけたからな。
経験無いと分かんないと思うけど頭が重たいと寝転がっていないと酔ったみたいになるんだよ。
イメージが掴めない人はインフルエンザに罹って体を後方に反らしたときと似た感覚であるともいっておこう。
これでも分からない奴はもう知らん。
大変だけど赤ちゃんのときの刺激が多ければ多いほど将来の身体能力や頭のよさにプラスに働くと聞いたことあるから今のうちにトレーニングしておかないとな。
本当は、魔法の練習をしたいのだけどフランに聞いたら分からないとか言われた。
正確にいうと、魔法を教えることはできてもその根源たる魔力がどのようなものなのか教えることができないらしい。
妖精は生まれたときから、魔力というものが分かるというか感じられるらしくそれを説明するのは難しいといわれた。
でも、魔力を感じられるようになったら魔法を教えてくれると約束してくれた。
なので、フランには精霊語を習得するトレーニングに付き合ってもらっている。
『超疎通』を使っていて分かったことなんだけど、このスキルを使っているうちは自分の発しようとしている言葉や意志に被さってその設定した言葉を発してくれているんだよ。
このスキルを使っていると例えば、念話のようなもので疎通をするときこちらは、日本語で話す感覚で意思をつたえようとすると、それと平行して勝手に念話で話してくれるというわけですよ。
このとき自分は、口で話す感覚と念話で話す感覚を両方同時に持っているということですよ。
ただしこの場合、他の人から見ると『超疎通』の使用者は念話しかしておらず、日本語で話すという行為をしていないらしい。
おそらく、スキルを使って日本語を使って英語で疎通しようとすると、日本語が英語に上書きされ、感覚的に口が勝手に同時通訳みたいにしてくれるのだろう。
これをうまく使えば精霊語をスキルに頼らずに使えるようになるのではないかと思って、今がんばって習得中である。
喉を使わない言語感覚は非常に難しいものの今の所なんとなく単語ぐらいなら伝えることができるようになった。
これが非常に便利なんだよ。
オムツはわりと一ヶ月経たずに卒業したのだが、今でもたまにお漏らしをしてしまうのだよ。
本来はトイレをしたい時に泣き叫べばいいのだろうけどいくら涙もろいといってもさすがにいちいちトイレしたいだけで泣くのは恥ずかしい。
それぐらいの羞恥心は自分にもある。
だがそれゆえ、たまに漏らしてしまうのだ。
周りの人に「おしっこしたい」と言うのはスキルを使えば簡単だけど、それをやってしまうのはさすがにまずいだろ。
生まれて一、二ヶ月のの赤ん坊が意味のある言葉をしゃべったらみんな驚くだろう。
確かに早く話したいとは思うけど、まだその時ではないしな。
そんな時この精霊語がかなり使えるのだよ。
だれでもいいので周囲の人の脳内に「おしっこ」とか囁いておけばその人はたいてい察してくれてトイレに連れて行ってくれる。
長文だと警戒されるかもしれないけど、単語ぐらいなら気付かれる心配もないしね。
最初この精霊語を覚える原理を使って『超疎通』でマーテルが使っている言葉も覚えようかなと思ったのだけれど、残念ながらそこまでこの技能は便利ではなかったんだよ。
このスキルの発動条件はあくまで疎通であることも重要なポイントらしい。
ということは、相手に一回以上は意思を伝える努力をしなければいけないんだ。
一回メイド相手に使ってみたら、一瞬だが赤ちゃんである自分が意味のある言葉をしゃべってしまって動揺されてしばらく大変だった。
という事があったので『超疎通』を使っての言語の習得は諦めることにした。
あ、そうそうさっきから気づいてはいると思うけど自分は貴族らしい。
らしいと言ってもおそらくよくて田舎貴族ぐらいだとは思うけどね。
マーテルからは自分は「ディース」なんて呼ばれているけどこれもまた愛称かもしれないから本名はわからないんだなこれが。
分からないことだらけだけどここで朗報がある。
なんと近く父親に会えるらしい。
父親、マーテルは「ランド」と言っているが、でかい町?から帰ってくるらしい。
でかい町というのはおそらく都だろう。
しかし、父親の話になると無駄にテンションの上がるマーテル。
この間なんてランドの武勇伝?を長々と聞かされた。
正直いって半分ぐらい何言っているのか分からなかったけど父親はなかなかにスゴイ人物らしい。
そもそも聖母という形容が似合うマーテルを射止めた男だ。
きっとスタイルのいいの超絶イケメンだったりするんだろう。
父親がそんな人間だったら自分も将来そうなれる可能性が高いということだしイケメンであることを期待しよう。
いや、逆にイケメンでないわけがないか。
初めて会う父親か…楽しみにして待っているとしよう。