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バースト

「……榊達は大丈夫かな」

 階段を急いで駆け下りながら、榊達の心配をする。

「大丈夫だろ。あいつらはそんなに弱くねーよ」

「うむ。我は二人を信じておる」

 ……ま、あいつらなら心配ないか。

「お、やっと次に到着か」

 次のフロアへと到着。そのフロアには何が待ち受けているのだろうか。

 大きな扉が目の前を塞ぐ。

「なんつーか……仰々しいなぁおい」

「ま、いいじゃねえかよこういうのも。俺様に相応しいぜ」

 どの辺りが相応しいかはわからないが、とにかくこの先に何かがあるのは確かだ。

 扉に手のひらを押し付け、ゆっくりと力をいれ、扉を開ける。

 開かれた扉の先には……教会?

「ようこそいらっしゃいました。私の教会へようこそ。アードルフ君と違って私はあなた方を歓迎します」

 神父服を着た中性的な人物が僕たちに歩み寄ってくる。

「お前を倒せばいいのか?」

「残念ですが、そうなりますね。はぁ、私は戦いなんてものは望んでいないのに」

「嘘いってんじゃねえ。知ってんだよ。てめぇみたいな目をした奴を何人も見てきたからなぁ」

「……勘のいいガキは嫌いだよ」

 途端に正体を表す。

「あ?頭掴んで神の元へ送り返すぞ似非神父が」

「それ以上はやめとけ」

 味方であるアスタを制する。

 危ない橋を渡るな。

「……貴様、名をなんという」

 メアが唐突に名前を聞き出す。意図が読めない。

「あ?りゅういん様だが?」

「鬼龍院……」

「バースト?」

「ぅぐふ……っ」

「何がおかしいんだてめぇら」

「だ、だってよ……鬼龍院はともかく……」

「バーストはねーよバーストは……」

 ものすごい名前だ。昔虐められなかったのかと少し憐れみを感じる。

 いや、駄目だ。笑いしか出てこない。憐れみなんて全然感じない。これっぽっちも。

「……くはははは。鬼龍院……とか言ったか?良い二つ名ではないか。誇りに思え。その後二つ名に免じてこの我、ナイトメア=ブラックホワイトがお相手つかまつろう」

「二つ名じゃなくて本名だよクソガキが!ぶっ殺すぞ‼︎」

「……ごめん」

「あークソ、イライラさせやがる……。一番俺様をイライラさせやがったクソガキ!まずてめぇから嬲り殺しにしてやる!そこの貧相なチビガキとむさ苦しい男は後回しだ!」

「誰がチビガキだって?上等じゃねーか。この中で誰が一番強いか思い知らせてやる」

「同感だぜ楓。脳天カチ割って脳ミソをてめぇの目の前でお子様ランチの旗を立てた後直接潰してやるよ」

「いや……そこまでやる気ねーよ」

 なんて怖いこといいやがるんだこの野郎。

 でもお子様ランチの旗はいいな。

「……我がやると言っておろうに。任せろ。そして先に行け」

「何言ってんだお前。俺たちはあいつの頭にお子様ランチの旗を立てるんだよ」

「わからぬか?貴様たちがいると邪魔だと言っておるのだ。巻き込まれたくなかったら先に行け」

「……お前、そのシチュエーションがやりたいだけだろ」

「そ、そんなことない……。そ、それに!こんなところで足止め食ってるわけにはいかないでしょ!ほらほら!」

 僕たちの背中をぐいぐいと押し、先へと向かわせる。

 ……仕方ない。ここはメアに任せて先に行くとしよう。

「メア、頑張れよ」

「……うむ、我を誰だと思っておる」

 拳と拳を合わせる。お互い少し微笑み、背中を向けてそれぞれのなすべきことへと向き合う。

「さて、始めるとしようか」

「ははっ、別れは済んだのか?」

「貴様こそ首と胴体が別れる覚悟をしておけよ」


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