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地雷原

  早く見つけないと。

  民家の屋根の上を飛び移りながらアスタを探す。

  ふと上空を見上げるとまだ彼女は上へと向かっていた。

  自分の力に恐ろしさをと戸惑いを感じていながらも先を急ぐ。

  少し前アスタと別れた道まで戻ってき、それからアスタの進んだ方向へと脚を進める。

  アスタは武器屋へ行くと言っていた。

  アスタの能力は発動すると同時に異空間に管理されてあるエルヴレインを発動と同時に装着する能力。

  あの女とは違って一種類しか使えないはずなのに今更武器見に行く意味あんのか?

  そうこうしているうちにアスタを発見した。

  物陰に隠れて財布の中を必死にまさぐっている。

  なにやってんだ?

  屋根の上から見ているとどうやら金を数えているようだ。

  数え終わったらしく、えらく上機嫌そうに路地に入っていった。

  あの女の姿を確認すると既に下に向かって落ち始めていた。

  急がないと。

  どんどん路地を突き進むアスタの捕まえようと後をつける。

  そして路地を出たその先には……。

  風俗が沢山あった。

  僕が死闘を繰り広げている間にこの野郎は何をやっているんだ。

  苛立ちを覚えながらも時間がないのでアスタの襟元を強引に引っ張り、急いで穴まで戻る。

「か、楓!?やめろ!離せ!俺はあそこにいかなければならないんだ!」

「ふざけんな馬鹿!お前関連でめんどくさいことになってんだ!諦めろ!」

「ぐああああああ!楓様ご慈悲を!」

「暴れんな!落ちるぞ!」

  軽い口論をしながらあの女が落ちてくるであろう落下点まで到着した。

  アスタを強引に下ろす。

「いでっ」

  「間抜けな声だ」

「なんだと!?」

「文句なら後で聞く」

  そろそろだ。

  「……ぁぁぁぁああああああ‼︎」

  あの女の叫び声が聞こえる。

  もうそろそろ目視出来るはずだ。

  ……見えてきた。

  それと同時に僕は思いっきり飛び上がり、女より少し高い位置につく。

「喰らえバァァァァァカ!」

  渾身の力を込めて女を蹴落ろす。

  落ちる速度+蹴りの威力で相当な衝撃になった筈だ。

「ぐ……ぅ」

  呻き声を上げる。

「生きてたか。まあ生きてくれてなけりゃ困ってたんだが」

  さっきとまた服装が変わっている。

  今度は流水をイメージさせるような服になっている。

  ダメージ軽減のようなものをしてたのか?

「貴様だけは……絶対にゆ、許しません……!」

「もうボロボロじゃねーか。やめとけ」

  ここまで衰弱した女を更にボコボコに出来るほど鬼ではない。

「それよりほら、連れて来たぞ。例のやつを」

「なんだよ俺関連の事って……」

  アスタがめんどくさそうに女に近づく。

「……榊?榊じゃないのかお前!」

  やはりこいつ関係だったか。

「アスタ……様ぁ」

  息が切れ切れになりながらもアスタの名を呼ぶ。

  しばらく二人きりにしてやるか。



  結論から言おう。

  奴ら二人はお互いが思い浮かべた性格ではなく、時間が経って帰ると、アスタと榊と呼ばれた女は激しい口論を交わしていた。

「和物の装備の素晴らしさをなんで理解出来ませんかねぇ⁉︎」

「なんだと⁉︎何が和物だ!洋物の方が明らかに優れてるじゃねーか!攻撃力も防御力もあるし圧倒的に洋物の方がいいき決まってるだろ!」

「あなたスピードという物を忘れてませんか⁉︎あぁ、ゴミみたいなあなたにゴミみたいな洋物装備はとっても似合ってますね!!」

「ヒラヒラした実用性もクソも無い地雷装備のてめえよりはマシだよ!」

  ……知らね。


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