事の顛末
「……うぅ」
「あ、起きましたね。もう一回眠らせましょう」
榊がアスタの頭を思いっきり叩く。
「いってぇな!なにしやがる!」
「ふん!ちょっとだけ心配したんですからね!」
「お前も成長したな……榊」
「はははっ……いでででででで‼︎」
「無理するでない。骨がバッキバキらしいからの」
大きな猿と戦った宇宙人かというくらいボキボキに折れているみたいだ。
「ふぅ……。楓、助けてくれてありが…………誰だお前」
「あ?僕は僕だよ。何言ってんだお前」
「お前!子供になってるじゃねえかよ!」
なんだその事か。
老人が分け与えてくれたとはいえ、エネルギーが足りなかったのか、不完全な体のまま蘇生したのだ。
「あれだ。敵の戦闘データが足りないのに武器を作らせた結果、なんか微妙な武器が出来たHAGEビルダーみたいなもんだ」
「お前が何を言ってるか全く分からん……」
安心しろ。多分、分かる人は少ないと思うから。
「つか、どーすんだよその体。お前の体だけが俺の心を癒してくれてたのに、そんなんじゃよぉ……」
「お前まだそんなこと言ってんのか……」
「俺は諦めねーぞ。いつか体だけじゃなくて心まで女に染め上げて、にゃんにゃんするんだ」
……ひっでぇ。
「……うん、そうだね」
とりあえず適当に返事をしておく。流石にこれ以上話を続けると、心が折れそうだ。
「っと、それでこの件はどうなった?」
「ああ、ひとまず安心しろ。終わった」
アスタに終了の報告を告げる。多分、今回一番頑張ったのはこいつだからな。
「そうか……。ロボットを操ってたのは誰だ?」
「あいつだよ。僕が空の彼方に吹っ飛ばした盗賊の親分。……桜を殺したあいつだ」
「あいつが……?くそ、またあんな奴に一泡吹かせられたのか。倒せたのか?」
「いや、また逃げられたよ。今度はよくわからん魔法みたいなのを使ってな」
あいつの逃げ足の速さは異常だ。そして身を隠す能力も異常。一番最初の時点でしっかりトドメを刺しておくべきだった。何度こう思ったことか。
「組織は壊滅出来たのか?」
「ああ。……他の依頼者に殆ど株をとられちまったけどな」
アスタ達がグラディアを止めている間に、他の依頼者達が、チャンスといわんばかりに敵勢力の壊滅を図ったらしい。幹部クラスの人間は誰一人捕まえることが出来なかったものの、 戦力はほぼ全て削げた。不安は残るものの、それなりに一件落着したのだ。
「んで、報酬は……」
「やめろ」
「……はい」




