巨大な
次の階へと到着。
しかしなんだここは。トラップタワーかって。
途端にチープになったこの階の罠は、いくつかの大きなハンマーが振り子のように降り続けられているだけだ。
「この階の攻略は簡単そうですね。ナイトメアもここだったら進めると思います」
……ナイトメア呼び辞めてもいいんだぞ?
「ここも早く行ってしまいましょう。まだまだ階数もあると思いますし」
「そうだな」
ひょいひょいと、いとも簡単にハンマーを躱していく。まあ、こんな原始的な罠に引っかかる奴なんてなかなかいないしな。
本当になんのイベントもなく全員通り過ぎ、そのフロアを後にする。
「……ん?」
榊が何かに気付いたようだ。
「あ、あれ…………」
榊が指差す方向を見ると、そこには絶賛稼働しているエレベーターがあった。
エレベーターは爛々と、何故今まで気づかなかったのか不思議なくらい光り輝いていた。
「……」
「……乗るか」
今までの苦労とはなんだったのか。メアの置いてけぼりとはなんだったのか。全員なんともいえない表情でお互いを見渡し、一人が乗り込んだタイミングで一斉にエレベーターらーに乗り込む。
「とりあえず最上階にいくとするか」
最上階の10という数字を押し、到着を待つ。
「さて、と。最上階には何があるか」
「鬼と出ますか邪と出ますかね」
「何があっても斬り刻むだけですよ」
それぞれ頼もしいセリフを披露して頂き、エレベーター外へと足を運ぶ。その先には、見たものを圧巻する物があった。
「なんですか……これ……!」
その物に圧倒される榊。他の者も声が出ないようだ。
なぜ、ビルは高いのに10階までしかないのか、理由が分かった。
答えは、目の前にある大きなロボットを隠すためだ。
「……合点がいきました。これを暴れさせて、辺りを支配しようというのですね。その見せしめに、この街を破壊しようと」
「城山、このことは知ってたのか?」
「いえ、何も知りませんでした。こんな物があるなら最初から組織になんて入りませんよ」
「だよなぁ……」
僕を背負いながらアスタがロボットの周りをグルグルと歩き、どのような物かを確認する。ロボットは、アニメで出てくるような装備をしており、実体剣、大きなガトリング、複数のバーニアを装備している。
しかし、こんな物現実に動かせるのだろうか。
いやいや、無理に決まってんだろ。
いくら元の世界より技術が進んでいたって、元の世界には無い物質を使ったって、こんな大きなものを動かせるはずがない。
まず、形を保っているだけで危ないだろう。普通なら自重で崩れる。そこはナイフと同じような物質を使えばなんとかなる……だろうか。
だがしかし、元の世界より少し技術が進んでいる程度で、このロボットを動かせるだけのエネルギー、動かせるだけの機械の開発は出来ないだろうに。
見かけ倒しなのか?いや、そんな筈は……。
……くそ、何がなんだかわからん。
依然僕のエネルギーもまだ貯まらないし、みんなに頑張ってもらうか。
ほら、そんなこと考えている間に強そうな奴も……って敵じゃねーか。
逆に今までなんで出てこなかったのだろうか。
「見られちゃったか。なら、殺すしかないよね」
「いきなり危なっかしい発言だなおい。俺らも殺されるわけにはいかねーんだよ」




