長編後の話って気が抜けるよね
この世界に戻って約一ヶ月経った。
大した事件もなく、まったりと過ぎていく日々。
そして依頼もなく、だんだんと尽きていく貯金。
「なぁ……なんで依頼こねーんだろうなぁ」
ぼやくな。
虚しくなるだけだ。
「そりゃあ宣伝してない上に、こんなところ通る人なんていないからでしょう。私なら絶対こんなところ来ませんよ」
現実を突きつけるな。
「だよなぁ……おい楓、ちょっと宣伝して来てくれよ」
何故僕が。
「やるわけねーだろ」
一蹴してやる。
「やれよ!お前がやらないとどうにもなんねーだろうが!」
「だからってなんで僕なんだよ!自分で行け!しかもなんだその態度‼︎人に物頼む態度には見えねーぞ‼︎」
机に足を乗せて横暴な態度で頼まれたらそりゃ誰でも断るわ。
「自分で行ってきて下さいよ。ちなみに帰ってこなくてはいいですよ?」
相変わらずの辛辣な言葉。
喧嘩はするなよ?
「お?やんのかコラ」
「表へ出ましょうか?」
「……手短にしろよ」
帰ってきたての頃は懐かしくなったものだが、毎日やられると流石に応える。
「任せろ!」
「承知しました」
いつも返事だけなんだよなぁ……。
そしてこの後は……。
「死に晒せえええああああああ‼︎」
「死ぬのは貴様だあああああああ‼︎」
ほーら。
桜はここにいる一番の実力者を榊だと言っていたが、実際には同等。
最近気づいたが、榊は本気で仕留める為に絶鬼流を使い始めている。
しかし、それでも尚戦い、生き続けているということは、アスタもそれに見合うだけの相当な実力者ということだ。
「その実力をもうちょっとマシな使い方をしろよな……」
思わず溜息が漏れる。
ちなみに、エンドール三兄弟は僕の顔を見届けたとほぼ同時に元々店を構えていた所に帰った。
これからの僕たちの生活を考えて、自分達がいたら商売上がったりになるからと言って。
別にいいのに。
結構な頻度で遊びには来るのだが。
「何を思案しているのだ?」
そしてその代わりがこれ、か。
「別に」
そっけなく返す。
「もう少し他人に興味を持たぬか……」
「他人には興味がない」
「あ、それかっこいい‼︎もらっていい?」
どこかで見た文をそのまま言っただけなんだけどな……。
「我の名はナイトメア=ブラックホワイト……他人には興味がない……」
髪は少し長め、学校時はワックス使用ってか。
「そっか。他人に興味無いのか。なら話しかけないでいいな」
そっぽを向き、メアをからかう。
「あ、あの……あうう……」
これはいいおもちゃが出来た。
「ね、ねえねえ!街にいこうよ!」
アニマルの森ってか?
「なんでまた」
「さっき言ってた宣伝に‼︎」
「宣伝か。確かにもう金が無いしな……。よし、行くか」
メアの提案に乗っかり、街へ行く支度をする。
銃とガンベルトと共に元の世界に置き去りにしてきてしまったため、新しく買い直した鞘にナイフを収め、アランとの戦いによってだいぶ削れて無くなってしまってはいるが、まだ一応使える鈍器靴を履く。
「というかお前……口調はどうしたんだよ。ナイトメア=ブラックホワイトさんはどうした?」
「え?常にあれってめんどくさいじゃん」
自分で演技って分かってんのかよ。
どこが中二病だ。
「力の消費が大きい故にな……無駄な所で力を解放するわけにはいかぬ……」
あ、中二病でしたわ。
「準備が完了した。では行こうか」
普段は力抑えるんじゃないのかよ。
「そうだな……。アスタ、榊、行ってくるからな」
「ざがぎいいいいああああああおおおおおおおおお‼︎」
「ごろずうあいいいあういいいいうううおおいあああああああ‼︎」
……ちゃんと言葉を話してくれ。
それでも人間なのか。知的生物なのか。
「うわぁ……」
ほら、普通だと引かれる立場である中二病少女からも引かれてるぞ。
「帰って来る頃には終わってるだろ。行くぞ」
「りょ、了解……」
家から離れていく。
激しい戦闘音が聞こえるが気にしない。
気にしない気にしない。




