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鳴り響いた銃声※修正ver

数日前、作者は過去の話を見返していました。主に勢いで書いた為に生じた矛盾点を解消するために。

そして、作者はとんでもない話を見つけたのです。

33話、この話です。

なぜか35話と同じ内容が載せられていました。

一番重要な所なのに自分は何をやっているんだと。

これでは後に書いてある話まったくわからないじゃねーかと。

ということで大急ぎで書き直しました。

本当に申し訳ございませんでした。

これからもどうかよろしくお願いします。

「うおおおおおお!」

 馬鹿みたいな怒号をあげながら山賊風の男が僕……今は桜か。桜に向けてサーベルを振り降ろす。

「隙デカすぎ」

 すっとよこに躱して背後に立ち、背中をヤンキーのように蹴飛ばす。もちろんただのヤンキーのようなただ痛いだけのそれとは違い、当たったら即死レベルの攻撃だ。山賊風の男はものすごい勢いで吹き飛び、近くにいた人間を巻き込んで息絶えた。

「あのさぁ、時代劇じゃないんだから全員でかかってきなよ。あたしはその準備できてるぜ♡」

 煽るな馬鹿。

 山賊風の男が一瞬でやられたことも大きいのだろう、その場にいた全員が顔を見合わせて一斉に掛かってくる。

「そのいきやよし!ってね!」

 攻撃を次々といなし、躱し、そしてすかさず反撃。

 流石、僕よりもうまく体を使いこなしている。

「というかさぁ、昨日ので団結しないと勝てないって学ばなかったの?ふふふ、あたしお馬鹿さんは嫌いじゃないぞ」

 だから煽るなって。

「お前達、引け」

 昨日僕たちに瞬殺された大きい人が目の前に現れる。

「あ、昨日私達に瞬殺された人だ」

 嘲笑するかのように指を指す。僕と同じこと考えやがって……って当たり前か。

「昨日のようにはいかぬぞ」

 両刃の剣を抜き、剣に炎を纏わせる。炎系の能力者か。

「この私の炎は鋼鉄をも溶かす!」

 炎を纏わせたまま桜に向かって攻撃を仕掛ける。桜は何か問題が?とでも問うかのようにきょとんとした顔で攻撃を待つ。

「その鋼鉄をも溶かす炎も当たらなきゃ意味ないよねー。折角の炎なんだから飛ばして使いなよ。というか剣、溶けるよ」

 茶化しながら横向きに振られた剣を体を折り曲げて躱し、地面に手をついて隙だらけの顎に足蹴りを喰らわせた。口から血を吐き、倒れる。

「……ふぅ。んで、まだやる?」

「うう……。うおおおおおおおおお!」

 ヤケになったのか、全員が無策に突っ込んでくる。馬鹿めが。

「一網打尽になるってわからないかなぁ」

 そう言った通り、一瞬で全員を纏めて倒してしまった。

 その場に立っている者はもう桜以外誰もいない。

「よしっ、完璧だね」

 首筋を切断、能力を解除する。

「何が完璧だこの野郎。なんで僕を引っ込めた」

「だって調子悪かったっぽいしー。楓くんだけに任せるわけにいかないだしー」

 どこか馬鹿にしたような態度で僕と会話をする。

「でも……危ないだろ」

「そんなこと言ったらいつも危ないことしてるのは楓くんの方だよ?」

「ぐっ……」

「ふふふ、分かってるよ。楓くんは私が心配なんだよねー」

 嫌味な言い方しやがって……。けど、そんな会話でとても和やかな気分になる。周りには血の花が咲いているというのに。

「さて、他の救援に行くか。といっても、多分大丈夫だろうけど」

「そだね」

 ……唐突だが、ここは戦場だ。それを忘れたらいけない。それを忘れた僕たちがこうなるのは必然だったのかもしれない。

「楓さん!桜さん!気をつけてください!」

 突然の榊の叫び声。

 何故榊がこんなところにいるんだ?というより、危ないって何が……。

 と、後ろを振り返ろうとしたその時だった。

 体が動かない。指一本もだ。

「はっはぁ!あの時は何もできなかったが……今度はそうはいかねぇぜえええええ!」

 この声、聞き覚えがある。どこの誰だ?

「あなたは盗賊の……!」

 盗賊?

 ということは……。

「よぉ、俺を殺しやがったクソガキ!えーっと、佐倉とかいったかぁ?」

 あの野郎……!

 僕の背後で銃のスライドを引く音が聞こえた。ゆっくり、かちゃり、と。

 まずい、今の僕じゃ何もできない。

「楓さんっ!」

 榊がこちらへ駆け寄ってくるが、その足は阻まれることになる。

「ひっ……ひひっ!」

 この声にも聞き覚えがある。この声は昨日取り逃がした奴だ。

 背後でぎちぎちと榊の持っている刀と相手の金属状の何かがせめぎあっている音が聞こえてくる。

「楓さん!」

 榊の悲痛な声。

「はっはぁ。この能力を使ってる間俺は動けねぇからなぁ……。代わりにこいつにやってもらうことにするわ」

 さっきスライドを引いた者だろう。短く「わかった」と告げると、服の擦れる音を鳴らして腕を伸ばし、僕へと銃口を向ける。

 何も見えていない自分でも何が起こっているかはわかっているつもりだ。

「……地獄に落ちろクソ野郎」

「ならいつか地獄で会おうぜベイビー!」

 乾いた発砲音を鳴らし、弾丸が僕へと飛んでくる。

 ちくしょう……。

 その言葉が頭をよぎった時、僕の体を誰かが触れた感覚と謎の浮遊感に襲われる。

 何が……。

 その瞬間能力による拘束が解けた。そして、僕はその誰かが押した感覚のした方向を向くと、胸の辺りが、血に染まった桜の姿。

「さ、桜!」

 すぐに体制を立て直し、桜の元へと向かう。

「ちっ、仕留め損なったか。おい、俺は行くからお前は残ってもう片方仕留めとけ」

「了解」

 短く返事をし、再度僕たちを狙う。

 その時には既に盗賊の姿は無かった。

「させません!楓さんは桜さんを!」

 桜を心配してつ、榊が遠距離から銃身をバラバラに切り裂く。

「桜!おい、しっかりしろ!」

「ふふふ……無事でよかった」

「何であんなことしたんだよ!何で……っ」

「楓くんだって……さ、そうするでしょ……?」

 するに決まっている。だって最愛が危機なんだぞ?

「あ……。多分もうだめだ。楓くん、また…………」

 桜の体が光に包まれる。その光はやがて僕の体を包み込み、能力が発動。体が桜の体に変わる。

 桜が消える前に聞こえないほど小さな声で、いや、実際はただ口が動いていただけかもしれない。

 それが僕には『デートしたかったな』という言葉に聞こえた。

「だから死亡フラグだって言っただろ……」

 ぼそりと呟く。

「なんだって?」

 榊と交戦状態に入りかけていた男が僕が何を言ったか聞き直す……が、それに答える気なんてものは僕にはない。

「榊、どけ」

「な、何を……!」

「どけってんだよ」

 乱暴な口調に気圧されたのか、榊が道を開ける。

 そして、男に向かってまっすぐ歩いていく。

「愚直だな」

 僕に向けて一発弾丸を放つ。その弾丸を止まることなく避ける。

 その後何発も僕に向けて発砲するが、それを全て避け続けた。やがて弾がつき、僕から距離をとって弾の補充を始める。

 が、そんなことをさせるわけもなく。

 一気に距離を詰め、銃を持っている方の腕を掴み、握りつぶす。

「ぐああああああああああ!」

 絶叫をあげるが、そんなもので終わらせるはずもない。

 後頭部を掴み、思いっきりパンチを繰り出す。その一撃で既に誰だか判別出来ないくらい潰れてしまっていたが関係ない。

 その後も顔を殴り続ける。拳に肉片がくっ付き、服に顔に血が飛び散る。

「うわあああああああ!」

 声にならない声をあげる。

 最後に一発、首元に拳を振り下ろし、頭部とそこからしたが離れる。

「うぅ……。うあぁぁぁぁ…………」

 自然と涙が溢れてくる。泣いたのはいつぶりだろうか。幸いなことに雨が涙を隠してくれている。

 僕は、そこからしばらく動くことが出来なかった。



 どれほどの時間が経っただろうか。涙も枯れ果て、とてつもない虚無感が襲ってくる。

 心から何かが消え去った。そんな気がした。

 考えなくふらふらと立ち上がり、あてもなく何処かへと向かう。

「……楓さん、どこに行くんですか」

「……放っておいてくれ」

 歩くことすらままならない状態、孤独。最愛の僕の片割れはもういない。

 雨が降りしきる中僕は姿を消した。


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