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「あのさぁ……」

 同盟を組むとは言ったけどさぁ。

「なんで家ごと隣に引越してきちゃうかなぁ!」

 馬鹿なのか?

「大丈夫っすよ、あっし達の部屋の部分をこの洞窟ハウスの上に増設するんで」

「それ外観を岩そのまんまにした意味無くならね⁉︎」

 依頼しにいった時点で同盟を組むと決めていたなら家を作るときなんとかなったろうに。

「安心してくだせぇ、上に増設した後岩を貼り付けてカモフラージュするんで、そして元いた家はバラバラっす」

 それなら新しく作った方が早い気が……。

「というかお前達には元いた店に未練とかないのか⁉︎」

「無いっすね」

 きっぱりと言われてしまった。

「だってあの店押し付けられた奴ですし」

 押し付けられたって……。

 まあその辺は深く聞かないでおこう。

「やるなら手早く頼むぞ……」

「了解っす」

 ビシッと敬礼を決めた後家に向かって歩き出す。

 なんかよく分からんやつだな……。

 おっともう朝食の時間だ。

「ふふふ……今日こそはあいつらに一泡吹かせてやる……‼︎」

 ベルトに巻きつけた鞘からナイフを抜き取る。

 なんだか自殺なら死ぬのが怖くなくなってきたのが別の意味で怖い。

「せーのっ‼︎」

 どすっと音を立ててころっと倒れるこの仕草。

 慣れたもんだった。

 さあ倒れろ僕!

 ……あれ?

 確かに喉を刺したのに意識が消えない。

 いやいや早よ意識消えろや。

 あのめんどくさい真っ暗空間もあるし早く生き返らないとダメなんだよ。

 ……よく見ると僕はさっきより少し高い位置にいるようだ。

 あれ?まさかこれ臨死体験って奴?

 下を見ると僕の体。

 ずっと女のままだ。

 というかこの位置って……昨日聞こえてきた声のする位置に近い。

 ……ということは……‼︎

「ん……はぁっ♪」

 あの馬鹿声が僕の体からする。

 まさかあの女と入れ替わったのか⁉︎

 ふふふ、と今度は目に見える笑みを浮かべた女。

 よく見るとあの真っ暗空間にいた女とそっくり……いや、そっくりどころかまったく同じ後ろ姿をしている。

 そして後ろを向いていた体を此方に向け

 、手を後ろに組み、漫画に出てくる幼馴染がよくやるポーズをしてニコニコと笑いながら言葉を発する。

「体……借りちゃうね♪」

 ちょ、ちょっと待て‼︎

 おい、なんだよ‼︎

 なんだ、今の僕はあれか?

 俗に言うもう一人の僕状態なのか?

 そうだ、相棒ってうるせーよ‼︎

 一人脳内ノリツッコミが激しくなってしまっている。

 そういえば声が出ない。

 あの声と同じ状態になったのか?

 いや、あの声は榊をくすぐっていたのでそれは無い。

 とにかくこの状態はまずい。

 どうにかしないと。

「楓くん楓くん」

 目の前の女が僕に話しかける。

「俺のターン、ドロー‼︎」

 腕にあるなにかを二本指で引き抜く仕草をする。

 どう見ても僕を馬鹿にしているだろ。

「そうだな相棒。くらいは言ってよぉ」

 ぶっ殺すぞてめええええええええええええええええええええ‼︎

「あ、怒ったー♪」

 女はたたたっと家の中に駆け戻る。

 僕は走っていないのに女の後ろを自然に追跡する。

 まさにもう一人の僕だった。

「そうだな、相棒」

 だからうっせーよ‼︎



 食卓を見ると既に全員座っており、どうやら僕を待っていたようだ。

 意識が消えていないように感じたが実際ら結構時間が経って居たらしい。

「あれ?楓なんで髪伸びてんだ?」

 僕は能力を発動して男女反転しても、肉体に多少の変化はでるが、髪型は全くといって変わらないの。

 しかし今回は髪が伸びているらしい。

 らしいっていうか理由は明らかだけど……。

 それを周りに伝える術は無い。

「ふふ、な・い・しょ」

 僕の体でそんなこと言わないでええええええええええ‼︎

「なんだよ気持ち悪いな……」

 アスタがドン引きしている。

 お前だけには引かれたくなかったよ。

「それよりもぉ」

 すすすとアスタの側に寄る女。

 そして後ろから手を回し……。

「アスタくーん、気持ち悪いとか言わないでほしいなー?」

 胸を押し付ける。

 僕の体でそんなことしないでええええええええええ‼︎

「うわあああああああああああ楓が変だあああああああああああああ‼︎」

 この前まで僕に鼻を伸ばしていた男とは最早別人だった。

 まあ僕の態度が大半の理由な訳だが……。

 そこで女が衝撃的な事を言い始めた。

「楓?あたしは楓くんじゃないよー。あたしの名前は……さ・く・ら♡」

 ……なんだって?

 僕は難聴系主人公じゃないんだから二回も同じことをさせないでくれ。



 僕の名前は佐倉楓。

 それじゃあ僕とそのまま変わらない。

「楓さんの名前は佐倉楓です。それでは楓ではないと言うことにはなりません。貴方は一体何者ですか‼︎」

 あ、榊が追求してくれた。

 偉いぞ榊。

「だからあたしはさくらだよ♪桜の花の桜♡」

 漢字が違うのか……。

「そしてぇ、あたしは楓くんの能力の副作用で生まれた二重人格なのだ!」

 な……。

 能力の副作用で生まれた二重人格だと……?

 そんなこと……。

「そんなことあるんですかい⁉︎」

 この世界の熟練者であるティフでさえ驚いている。

「あと昨日榊ちゃん突然誰かにくすぐられたでしょ?あれあたし」

「あ、あれは貴方の仕業だったんですか‼︎」

 涙目で桜を指差す榊。

 そんなに嫌だったのか。

「ふふふ、ごめんね」

 ちっとも悪いと思う様子はなく心のこもっていない言葉だけの謝罪をする桜。

 むんと榊が膨れてそっぽを向く。

 これだけを見ていると大和撫子ではなく普通の女の子のようだった。

 キャラを忘れる程嫌だったのか。

「なんにしろ、早く楓を返してもらおうか」

 いつの間にかエルヴレインを装着したアスタがランスを桜の首に押し付ける。

 おいまてそれは僕の体だぞ。

「ふふふ」

 あの嫌な笑みを浮かべたかと思うと桜はランスの先を鷲掴みにして遥か先へと飛ばす。

「なっ……‼︎」

 流石のアスタも動揺を隠しきれなかったようで、再装着をするのが少し遅れている。

「忘れたの?この体は楓くんの能力が発動した体なんだよ?……まぁこの体の元の持ち主はあたしなんだけど」

「その体も能力も楓のものだ!」

「楓くんの体はちゃんとあるでしょ?男の子の体が。まず二重人格で体が二つあるのに両方独占するっておかしくない?」

 アスタは「くっ……」と一言唸りをあげるとそれきり反論できなくなってしまった。

「しかし楓さんの能力があったから貴方が生まれた。そうですよね?それならば後から生まれた貴方がとやかく言える権利はないはずです」

 冷静さを取り戻した榊はアスタに変わり反論する。

 榊には助けられてばかりだな。

 言葉的な意味で。

「じゃあ……この能力の持ち主があたし……って言ったらどうする?」

 なにいってんだこいつは。

 僕の固有能力がこの能力なのに……。

「忘れてない?楓くんにはもうひとつ能力があること」

 榊がはっと顔をあげる。

 他の四人は全く分かっていない様子だ。

「武器を使いこなす能力。これが本来の楓くんの能力だよ。でも何故か身体能力を超強化する能力がついた。これは楓くんの中に潜んでいたあたしが授かった能力なんだよ」

 桜が此方をくるっと向き、にこっと微笑む。

「あたしはね、君の中に昔からずっといるんだよ♪」

 僕には自覚がない。

「自覚ない?そりゃずっと奥にいたからね。二重人格は大抵何かトラウマから誕生するって言うけど楓くんにはそんなトラウマないしね」

 じゃあなんで……。

 なんで今更になって出て来たんだよ。

 釈然としない。

「ま、理由はいろいろあるんだけどね、今はこの体を楽しませてもらうよ」

 家の外へと走り出す桜。

 くそっ‼︎誰かこいつを止めてくれ‼︎

「鬼ごっこやろうよ!鬼はみんな!逃げるのはあたし!そしてみんなはあたしを殺せたら勝利だよ♪」














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