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絶鬼流

 方針が決まった。

 数日前から僕たちは岩をくり抜いているわけだが、流石に素人三人では無理があった。

 そういう専門の奴を呼んだ方がいいだろう。

「便利屋が他所に何かを依頼するってなぁ……なんかなぁ……」

 こいつは便利屋にどんな幻想を抱いているんだ。

「それでは私たちは無理だと悟ったので貴方一人で作り続けて下さい。楓さん、向こうで昼食でも摂りましょう」

「……そうだな。アスタがなんとかしてくれるよな」

 アスタ一人置いて岩陰へと場所を移動する僕たち。

 アスタはよっぽど人に頼りたくないらしく、一人でせっせと作業を続けている。

 やがて数十分が経ち、アスタも少し休憩するらしく、僕たちのいる岩陰へと歩み寄って来た。

「今どんな感じだ?」

「ぼちぼちだな」

 曖昧な返事しやがって。

「それじゃあ見て来るよ」

 顔を真っ青にして脂汗をだらたらと再現なく流しているアスタを横目に家を見に行く。

 そこには元あった岩山ではなく穴ぼこだらけのよくわからないものがそびえ立って居た。

「アスタ?」

「は、はい?」

 恐らく僕は今目が笑っていない。

「そんなに穴を開けるのが好きか?」

「い、いや……別に好きじゃ……」

「貴方に今から二つの選択肢を与えます。一つは地面に穴を掘って一定の深さまでいったらまだ埋める作業、もう一つは貴方自身が穴だらけになるか……!」

 榊は僕よりよっぽどやばいことを考えていたようだ。

「穴掘って……埋めてます」

 そんなことをさせるより修復作業をさせる方がいいんじゃないかという疑問が浮かぶが口には出さない。

「楓さん、私たちは街にでも行って専門家の方にご依頼しに行きましょう」

 本当にこいつはアスタに対して当たりが強いな……。

 そこまで相容れないものなのか?洋装と和装は。

「止まれテメェら!」

 背後から大きな声がする。

 アスタではない。

 振り返るとなんというかテンプレの盗賊といった集団が武器を持って立っていた。

「ここらで見ねぇ顔だなぁ!女の子二人で歩いてると危ねえぜぇ?ククク!」

 雑魚臭が半端じゃない。

「さっさと始末するか」

 右の手を握り、左の掌にぱんっと叩きつけ、戦闘準備をする。

「いえ、ここは私に任せてください。あの馬鹿には見せませんが楓さんには特別に私の剣術……正確には私の流派の剣術の技をお見せします」

 そういえばなんか特殊な剣術習ったことあるんだっけか。

「いきます……!」

 攻撃する前に合図すんのが習わしなのか?

絶鬼流ぜっきりゅう抜刀術一の型……」

 なるほど、この流派を考えた奴は中二病だったらしい。

「始!」

 ぜっきりゅうばっとうじゅついちのかたはじめ。

 聞いてるだけでお腹がいっぱいになってくる。

 しかし実力の伴う中二病はもはや中二病ではなくただ単に凄いので、この場合も凄いということになるのだろう。

 刀を抜いたと思ったら気がつくと刀を納めながら盗賊の集団の背後にいつの間にか移動しており、全員が頭を半分に割られて絶命していた。

 ただ一人ボスと思わしき者を除いて。

「いいですか?これに懲りたならもう悪いことはしてはいけませんよ?」

 目は相変わらず笑っていないが、表情だけは笑った顔でそう忠告する。

「は、はいいぃぃぃ……」

 盗賊のボスっぽい奴は一目散に逃げていく。

「別に殺すことはなかったんじゃないか?」

 まあ別に死んでも死ななくてもどうでもいいんだけどさ。

「いえ、こいつらは殺すべきです。まだ私が村にご厄介になっているとき、この集団が村に現れて家や畑を荒らして行ったんです。そのせいで村の皆様はほとほと困り果ててしまいまして……彼らも生活の為にこんなことをしているのならば殺しはしませんでしたが今回の行動を見るに彼らは好んで、意味もなくこんなことをしていたので不肖私が始末させて頂きました」

「そんな奴らだったのか。でもなんでボスは殺さなかったんだ?」

「……死より恐ろしいものは沢山あるんですよ?」

 どす黒いなこいつ。

「さぁ、邪魔は入りましたが早く街に行きましょう!馬鹿の穴を埋めますよ!」

 といい先程の表情とは打って変わり、朗らかな笑顔で僕に笑いかける。

 ……なんか根本的なところはおかしい気がするけども。

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