表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

短編や短編集や中編。

大丈夫。問題ない。――その後の二人。

「大丈夫。問題ない」のその後の二人。

*活動報告に載せていた作品を移動いたしました。

「別れてくれる?」


 目の前の――ひ弱系男子を演じている滝川星夜くんに、お姉様系な私が上から目線で言いました。


「……、今度は何?」

「次回作は、星夜では無理なの。今までは、なんとかなったかもしれないけれど、さすがに……ね?」


 お姉様系な私は伸びた髪を横に流しながら、やはり上から目線で私よりも20センチは高い滝川くんを見上げます。


 色々な“設定”のキャラを演じ、小説を書くためにあたっての“経験”にしようとしている私。そして、次のターゲットの“設定”をうまく演じてくれる滝川くん。


 でも、次回作はさすがに無理なのです。


「だから、何?」

「……お嬢様系×お嬢様系。女の子同士の話がきているの」


 次回のテーマは“百合”。昨夜、担当さんと打ち合わせの結果、決まりました。

 数々の“設定”彼氏を演じてきた滝川くんも今回は……


「わかった」

「へ?」


 ひ弱系になりきっている滝川くんは、撫で肩を演じつつ(なぜ? なで肩?)トボトボと私に背を向けて去っていきました。背中に哀愁が漂っています。


 ……いつもなら、もう少し粘られるんですけど。どうしたんでしょうか。


「……っ」


 自然に手が胸を抑えました。

 いいんです。

 私は、小説を書くためにやっているんですから、彼が私に飽きたとかこっちにとっては都合のいい事なのです。


「これで、ちゃんとした“経験”ができます」


 外見が変わっただけで、中身は同じな滝川くんと付き合うようになって半年。

 でも、少し寂しく感じるのはなぜなんでしょう。

 春を呼ぶ雨が、ポタポタと私の頬を濡らしました。






◆◇◇


――次の日



「御機嫌よう」

「…………」


 目の前の、私よりも20センチは背の高い……この方はどなたなんでしょうか?


 腰までの黒いつややかな髪。

 古風にヘアバンドでとめていて、清楚なワンピースとカーディガンを羽織っています。どこからどう見ても“お嬢様”です。


「聡美さん、私と付き合って下さいませんか?」


 目の前の“お嬢様”が、ハスキーな声で私に笑いかけました。


「……滝川くん?」

「滝川聖子です。付き合って下さいますよね?」

「………その恰好…」

「姉のを借りましたの」


 流石、学園内の1,2を争うイケメンです。

 女装も似合っています。 背の高いのがコンプレックスなの。というていのお嬢様を、演じているようで、低いヒールを履いています。脱帽です。いや、今は関心している場合ではないのです。


「えっと……」

「下についているモノが気になるようでしたら、いつもよりも強めに…ふ…踏んで下さっても構わないですし」


 赤い顔で、モジモジ。

 ここは、私の家の前です。 そんな、人を変態みたいに! それに『してくれ』と言っているのは、貴方の方でしょ!

 

「誤解をされるような事は、言わないでください!!」

「そうですか?」


 そう言って、瞳をパチパチ。首をコテン。と、パーフェクトな美少女振り。

 ――滝川くん。役者になれますよ。それとも、新たな扉が開きましたか?


「いや、女装ってダメでしょ。滝川くんも学校の…他の人に見られたら大変ですよ!」

「聡美さんの“設定”周期は、大体2週間~4週間ですし、春休み期間中にはこの“設定”も終わるでしょ?」


 そう言って、またニッコリ。

 そして、耳元でこう囁きました。



「大丈夫。問題ない……ですよ?」






 春休みが開けて、男に戻った滝川くんから、ある提案をされました。

「次回、ロールキャベツ系男子と肉食系女子の設定は?」と。


 問題ありまくりです! 主に、貞操面で!





*リクエストありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ