表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
輪廻の魔王  作者: 鈴鳴
1/11

1話

 さて、ここはどこなんだろうか?

 上を見上げれば、二つの太陽が辺りを照らしている。

 太陽は一つ。地球ではそうだった。

 つまりここは地球じゃないわけで、ということは少し前にトラックに轢かれたことも、神を名乗る謎の声に言われたことも事実ってことなんだろう。

 神様曰く


『貴方はこれから魔王として、此の世界を導いてください。』


 らしい。







「取り敢えず、ステータスを確認してみよう。」

 ステータス、と呟くと情報が出てくる。魔法の使い方は何となく頭の中に浮かんでくるから便利。


 藤代ふじしろ 颯天そうま

 種族 魔神

 職業 魔王

 技能 創命魔法

    空間魔法

    時空魔法

    不老不死


「詳しいステータスとかは無いのかなぁ……?」

 不老不死だから不必要なのかな? 取り敢えず技能を詳しく見てみると。

『創命魔法

 使用者の願いをそのまま具現化する。命有るものを産み出すことも可能。


 空間魔法

 空間に干渉する魔法。異次元に物体を収納したり、空間をねじ曲げて行きたいところへ移動可能。


 時空魔法

 時間を操る魔法。時の流れを早くする、遅くするだけでなく時間を遡り過去に戻すことも可能。ただし生物には効果が無い。』

 流石魔王、ハイスペックだね。

「でも、導くって言われてもどうすればいいんだろう……?」

 まずこの世界の情勢を知らないことには、どうしようもな……


「そこに誰かいるのか?」


「っ!」

 背中がビクッと跳ね、声のした方を向くと、自分と同じか少し年上くらいの青年が茂みを掻き分けながら出てくるところだった。

「……誰、ですか……?」

 いつでも逃げ出せるように少し腰を浮かしながら言うと、彼は敵意が無いことを示すように両手を上げ

「俺はレオン。怪しいものじゃないから大丈夫だよ。」

「……怪しい人は皆そう言いますよね。」

 そう返すとレオンは「あー………と言って、こめかみの辺りを掻きながら


「これでも勇者だから。」


 と、勇者の証(直感でわかった)である紋章を取り出した。

 …………いきなりラスボスとご対面です。いや、魔王は僕の方なんだけど。







「…………というわけで、正直僕にも何が何だか良くわかってないんです。」

 というわけで、レオンに魔王であることを伏せて現状を伝えてみた。幸い、伝承に僕と似たような人も居たらしく(トリップってことかな?)すんなりと受け入れてくれた。

「じゃあソーマはこれから行く宛とかも無いんだよな?」

「そうなりますね。誰も知り合いは居ませんし。」

「む…………。」

 淡々と答えるとレオンは神妙な顔をして黙り混み。

「よし、じゃあ俺と一緒に来ないか?」

「…………え?」

 思わず彼の青色の瞳を覗き込んだ。

「俺はこれから王都に行く予定なんだけど、一人旅だから暇なんだよな。それに、王都なら迷い子についての詳しいこともわかるだろうし、道すがら色んなことも教えられる。この辺のモンスターや野獣程度なら俺が退治してやれるからさ、どう?」

「え、と……」

 いや、僕魔王ですから……なんて口が裂けても言えない。かといってここでレオンと別れたら、それこそどうしようもなくなりそうな気がする。というか、第六感的な何かがついていけと言っている。

「それじゃあ、お言葉に甘えて……」

「本当か!」

 レオンの顔が綻ぶと、何故か安心するような柔らかいものを感じた。なんというか、ほわほわした感じ? 動物から感じるような癒しオーラとでも言うべきか。無性に頭を撫でたいが我慢する。

「うん、レオンが迷惑じゃないなら、一緒に行きたいな。」

「迷惑じゃないから! それに話し相手が出来て俺も嬉しいしさ! よろしくなソーマ!」

 ニカッと犬歯が見せながら手を握りブンブンと振られる。尻尾があったらきっと物凄い勢いで振られている気がする。

 そんなこんなで魔王ソーマと勇者レオンの旅の始まり始まり。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ