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神の器  作者: 紅きtuki
10/16

第10話「戦争」


「戦争……迷惑だな……」

美月みずきはフッと鼻で笑い、深く深呼吸してみる。

鼻で笑いつつも心の中が混乱している。

皆は戦争乃一言で片づけているが、具体的には何が起きるのか解らないといった状況だ。

戦争という前例は1000年前1度だけある。たった1度だけだ。

しかしたった1度の前例などでは、具体的に何が起きたのかがわからない。

ましてや1000年も前の話となれば、なおさらだろう。


美月に何ができる、それも自分の事を逆恨みしている機関の為に。

こう悩んでいる間に時は過ぎ、戦争まであと1日というまで時が過ぎた。

美月は相変わらずベットの上でごろごろしている。

機関からの連絡もない、夏輝なつきはどうしてるんだろう? 

……夏輝!? そう言えば最近夏輝の姿を見ていない。

部屋に言っても出てきてくれない。いつも留守……

まさか何かに巻き込まれたのだろうか? 

美月に嫌な悪寒が走る。こうしてはいられない、夏輝を探さないと。


こうして美月は木春きはる 春美はるみのもとを訪れた。

別に木春を探していやわけではない。たまたま出会ったのだ。

それも不思議な事に普通に道を走っていれば、ばったりと出会った。

副理事長だと言うのにこんな時に道をブラブラしてていいのだろうか……

「どうした?そ んなに慌てて……あぁなるほど、夏輝か。夏輝なら私のもとに居るが、来るか?」


まさか、たまたま出会った木春が夏輝と一緒にいようとは……

そんな事を考えながら木春に着いて行く。


「この部屋だ……私はする事があるのでここで失礼するよ……」

何やらニヤつきながらしながら去って行った。ホント不思議な人だ。


コンコン、美月は部屋の扉をノックする。

やがて、夏輝のどうぞーという声が聞こえる。

美月は深呼吸をし入った。


「ちょっと! 急に部屋から出て行ってどうゆうつもりよ!!」

入るなりいきなり怒鳴り出す美月。


「な!? 美月!? お前なんでここに!?」

夏輝はひどくうろたえ、顔を赤くした。

せっかく気持ちを整理したのにこれで台無しだ。


「?? 何でそんな焦ってるのよ……まぁいいわ戦争の事どうなってるの?」


「ば、ばかやろ。別に焦ってなんかねーよ。」


「うるさい、いいから戦争の事を教えて」


「……何もわかってねぇよ。機関から連絡がこねぇんだ。俺に何がわかるって言うんだ……

木春の奴なら何か知ってるかもな。


「どうにかして戦争をやめさせられないかな?」


「はぁ? ムリムリ、奇跡でも起こせたら別だけどな……」


やがて話がなくなり、空気が重くなり始めたその時、

2人にメールが届いたようだ。

2人は急いで内容を確認する。


戦争は始まった


たったこれだけである。いったい誰がこんなメールを……

その時、ビルの外で鼓膜が裂けるような爆発音が鳴り響いた。

慌てて窓から確認する2人。その2人が見たものは、

剣をもった大人数の人が押し寄せてきた。

先頭には神剣を2本持っている奴もいる。

そして、爆発音の原因は神剣を大砲の形にして、砲弾している奴がいる。


「奇襲か!? まったくせこい奴らだぜ」


バン!木春が勢いよくドアを開けた。


「奇襲よ! このビルは間違いなく壊される。行くよ!」


「どこに?」

2人は叫ぶ。


「敵陣……」


気がつけば、3人は見知らずの所に居た。美月と夏輝はここがどこなのか木春に問いつめる。

そしてどうやってここに来たのかも聞いた。

木春が言うのはビルの中に居る神剣使い全員を敵陣に送ったらしい。

敵の主戦力はビルにいったからひょっとしたら勝てるかもしれないとの事。


2人は他の機関のメンバーはこの事を知っているのかと聞くと事前に知らせてあると答えられた。

なぜ、2人にはその知らせが届かなかったんだろう。

そんな疑問にも木春は答えた。木春にもらったメアド……あれはただのメアドではなかった。

ウイルスの一種で機関からメールが届かなくなるらしい。

なぜそんな事をしたかと聞くと、ただの気紛れだと言った。

2人はこんなのは見え透いた嘘だと看破していた。

それも当然だろう、こんなわけのわからない行動が気紛れのはずもない。

しかし木春はこれ以上この事を語るつもりはないらしく。

その真実を知るのは木春のみだろう。


「行くよ……他の奴らも別々で行動している。私たちもはなれて戦おう。」


こうして三人は別々になった。

敵の陣地とはいえここはまだ庭みたいなもの。敵の建物すら見えない。

そんな調子でしばらくさまよった。

そんな状況でまっ先に敵の本拠地に着いたのは夏輝だった。

そこで夏輝が見たものは……大きな大きな建物だった。

あのビルを見なれた夏輝ですら大きいと思わせる大きさ。


そして、見た目は大きいだけじゃなく。ちゃんと基地として作られてた。

大砲に、とてつもなく大きい基地を守るとてつもなく大きい防壁。

色合いが白と黒と灰色だけで作られていて、それはまるで光と闇を表現するようだった。


そんな、防壁の前にちょこんと少女がいる。……葉乃愛はのめだ……

しかし、葉乃愛だとわかるまで時間がかかった。

というのも今回は水玉模様の服は着ていなく、

真黒のロングコートを着ていて、ずっぽりとフードを被っていた。

そう、夏輝が美月を助けだしたときの服装だ。

しかし夏輝とは違い、この少女は肌が白く、服の黒と肌の白が見事なまでに美しかった。


「葉乃愛……お前……」


「ここでは、残念ながら敵だし……覚悟するんだし。」

そう言って葉乃愛はいきなり襲いかかってきた。

間一髪防いだが、火と水、またもや蒸気が発生した。


「終りだし!!」


「させるかぁ!!!」


爆発……火というよりそう表現した方がいいだろう。

夏輝の周りに爆発が起き、蒸気を跳ね飛ばした。

その事に葉乃愛が驚きが隠せないようだ。


「強くなってるし……じゃあこれはどうだし。」

そう言い左手にも神剣を持つ葉乃愛


「神剣が2本!?」


神剣が2本以上扱えるのは、レベル9からである。


「驚いてるし……答えは簡単だし。私はレベル9のウォーターマニピュレート

限界を超えし者だし!」

笑いながらそう言う


火や水や雷といったありふれた属性能力アトリビュートでは、レベル7以上にはなれないと言われている。

しかし、まれに火と水など、二つの属性能力をつけ、レベル7以上になったという話は聞いたことがあるが、

単体の属性能力でレベル7以上になったのはおそらく葉乃愛が初めてであろう。

それが、今まで属性能力単体だけでは、レベル7以上になれないと言われ続けた理由だろう。

だが、たった今歴史が変わった。

正確には葉乃愛は以前から、この力を身に着けていただろう

それを龍門機関は公にしなかったのだ。

しかし夏輝がそれを確認した、それにより歴史が変わったのだ。

つまり、たとえ強い能力を取得してもそれを誰かに認めて貰い、

公に知らせなければ歴史は変わらないのだ。


「もっと面白い事を教えてあげるし私は水になれるし!」

葉乃愛は、ない胸を張りながら自信満々に言う。


水!水になれる!いまいち言ってる事が理解できないが、もしほんとにそうだとすれば、

直接攻撃は聞かないんじゃ……?


「そして、私の本気を見せけあげるし。」

葉乃愛は人が変わったかのように続けて呟く。


「Wed'm aiti, isa ja alkupera kaikki vesi on Me siunata vesi

Kuka onni I Kuka menetti tien ja rangaistus

Jumala, tama on kiistanyt vesi」


「へ?」

絶対止めた方がいい……そうは思っていたが、あまりにも急で

驚いてしまったせいか、止める事は出来なかった。

そうして謎の言葉を呟き終わった葉乃愛の右目は

赤……いや、赤なんてレベルじゃない

紅、紅蓮、もうとにかく真っ赤だった。

それの比べて、左目は何の変化もなく、透き通った青の目をしていた。

これにいったいどんな意味があるのだろう……


「私は水の神とも言われてるんだよ? 瞬殺してあげるね。

それと、今の私は葉乃愛じゃないよ? 今の余はUndine

この国の言葉でウンディーネと言います。」

そう言うと葉乃愛は黒いオーラを纏い右目を光らせていた。

たったそれだけで夏輝の体は硬直していた。


なんだ……あの化け物は……次元が違いすぎる……

レベル9と言うのはここまでなのか……いや……

ちがう、あれはただレベル9だからではない。闇の力だ……


「やれやれ、今のお前……闇に囚われ過ぎているよ」

闇の力は強い……が、しかし使い方次第では、薬にも毒にもなる。


「余が闇に囚われてるだと? ふふふははは、戯言を……」


「戯言じゃねぇ! なるほど水の神と呼ばれてる訳がわかったぜ。己の体に神を宿す何てな

お前は人間だろう? もう体がついていけてねぇよ」

 夏輝は己の体に神を宿すと言ったがこれは

一種の召喚魔法みたいなものだ。

そしてそれは今回、神を召喚した。そうゆう事だ。


「そんな脅しが効くと思うてか。Olet tuomittu」


「洪水? どこから?」

まるで洪水を思わせるような、大音量の水が流れる音。

仮に洪水や津波だとしても、

まだここまで来るのに10秒はあるだろう。

今のうちに攻撃すれば……

夏輝はそんな事を考えながら目をつぶり斬りかかった。

「おらぁぁぁ!」

夏輝はガタガタ震えている足を必死に動かし走った。


……当たった……当たったがそこはまるで水を斬ってるような感覚があった

恐る恐る目を開けると、葉乃愛の丁度、胸のあたりに剣が刺さっていた。

だが、それはおかしい……夏輝は縦振りだった。

けして突いてはないのだ。なので、刺さってると言う事はあり得ない。

試しに剣を上下させてみた。すると、まるで水をかき回してるような感覚だった。

微妙に水の抵抗が感じられる。

剣を上に振ると、さっきまで刺さっていた場所が何もなかったかのように修復されている。

逆も同じ、続いて下に振り直してもさっきまで刺さっていた場所が修復されている。

今の夏輝は何も考える事が出来なかった。ただそこに呆然として立ち尽くすのみ。

その顔は絶望を語っていた。

何もできないまま死を待つ。そうしてるうちにも水の音は大きなる。


「Bye」


夏輝はその声を聞いた。大音量の水の音が鳴り響いてる中、葉乃愛は確かにそう呟いた。

そして、夏輝はその声を確かに聞いた。

こんな雑音が鳴り響いてる中、夏輝がその声を聞く事が出来たのは、

死を覚悟していたからだ。人は死の直前、いままでの思い出を思い出すという。

そう、走馬灯だ。その思い出を思い出す速度はとてつもないだろう。

なにせ、今までの思い出を一瞬という時間に思い出すのだ。

その時、夏輝は神経を研ぎ澄ましていたのだろう。

だから、葉乃愛の声を聞く事が出来た。

その声を聞き絶望しているその次の瞬間、夏輝の真横から大量の水が流れてきた。

炎を宿していた剣の炎はあっさり消え、そのまま夏輝もろごと流す。

夏輝は何の抵抗も見せないまま流されていく。

あろうことか夏輝を流す大量の水は、

ちゃっぷちゃっぷと水しぶきを上げ、上に弾かれた水玉は色も変えず刃へと姿を変え、

水の中で溺れている夏輝に襲いかかった。それはまるで剣の形をした雨を思わすように。


「Moly kaatosade……直訳で轟々豪雨。私の必殺技だし」


やがてあの大量の水は全て剣へと変わり、そこにはの水色の針の山を思わす、

大量の剣が刺さっていた。

その姿を葉乃愛は黙って見ていた。

やがてその顔は、苦しみに耐えられないという顔に変わり。

吐血……吐血……吐血……

膝をつきながらこれでもかと言うほどに吐血する。

これだけで、出血多量で死んでしまうんじゃないかと思うくらいにだ。

やがて葉乃愛の周りには赤の水たまりができ、

色白の顔は血と言う名の赤の絵の具で彩られた。

その時葉乃愛は夏輝の声を思い出した。

『闇に囚われ過ぎているよ』っと……


「闇……こんな屈辱許せないし、話が違うし……」

そう言いぐったり倒れてしまった。

戦争いやですね……

それにしても、当然すぎでしょ。まぁいいか。

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