其れを『夢』と呼ぶ
lukaです!初作品です!
お手柔らかにどうぞ。
ーーー僕には夢が有ったんです。
「おい碧衣、碧衣〜、何ぼーっとしてんだ、早く行かないとなんだろ?」
「えっ、あぁ、そうだった!」
「ごめんじゃあまた!終わったら連絡する!」
上の空だった。本当に放心してた。
あぁ、そうだ、今日は講義を入れてたんだった。
中学を卒業して高校の新学期が始まるまで暇だったんだ。暇を潰せないか彼是模索していたとき、
偶々、母から貰った新聞に名前も知らない様な大学の広告欄があり、そこに載っていた学科で、「表現工学科」という文字がやけに光って見えた。
調べてみると、表現工学というのは、
『人間の感性や創造性、コミュニケーションなどの「表現」を、工学的な知識や技術を用いて研究・開発する学科で、映像・音楽・CG・デザイン・メディア・プログラミングなど幅広い分野を横断しながら...』
...いけないいけない。つい話し過ぎてしまった。
とにかく、心に響いたんだ!
僕が目指したかったのは其処だったんだ。そう心から思った。
ぼんやりとしていた「将来の夢」というのが定まった気がした。
その時からだ。僕に無縁だった勉学というものが丸三年間付き纏って来たのは。
ずっと苦労してきたし、時には友人の誘いを断ってまで、机に向かい続けて、辛酸を舐める様な思いをして生きて来た。
その努力の成果が出たんだ!
あの、夢だった青鳥大学に手が届いたんだ!
このままこれからの人生も上手く行くだろう。
そう思ってた。
大学デビュー当日、
青大は附属大であった事もあり、内部進学で上がって来た学生達がすでに集まっており、元々輪が完成しきっている様な雰囲気だった。
「流石に気まずいな...」
昔から友人関係には恵まれていた方だったが、これ程
言葉を発さない時は無かった。
あぁ、勉強の時は確かにこんな感じだったか?
いやいや、今は机じゃ無くてキャンパスだろ。
先の大学ライフが思いやられるなぁと思いつつも大人しく椅子に座った。
その矢先。
「君、なんて名前?」
いきなり話しかけられて不覚にも咽せてしまった。
「!!!ごほっ、ん゛ん゛っ!僕は月雪で!!...す...」
今までに無い程デカい声が出た。死ぬ程恥ずかしい。
「おぉ、月雪くんか、はじめまして。俺は酒田颯斗、颯斗って呼んでくれ。」
「ハヤト...さん...宜しくお願いします...」
彼に出逢って悪い方に向いていた僕の大学生活のベクトルが少しでも良い方に向いた気がする。
他には誰とも話せず、日が暮れていった。
家に帰ってそのままベッドに横たわる。
こんなに気持ち良い物だったっけ、うちのベッドって。
もう起き上がりたく無い。そのまんま寝てやろ。
そう考えながら枕に顔を押し付けた。




