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愛しいあなたと  作者: 飴とチョコレート
第1章 幼少期編
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告白

公園のベンチに並んで座っていた。

樹の隣。ぬいぐるみの紙袋を抱えたまま、俺は空を見上げる。


静かだ。

でも、心臓の音だけがうるさい。


――もう、限界だった。


「……樹」

呼ぶ声が、思ったより掠れていた。


「俺、あんたのこと……恋愛的に、好きだ」


空気が張り詰めたように感じたのは、自分だけじゃなかったと思う。

樹がゆっくりと、俺の方を見た。


「……言うつもりなかった。けど、もう黙ってるのが無理だった」


手に汗が滲む。だけど、言葉は止めなかった。


「俺、男だし……男が男を好きになるのは、ヘンなんだろ?。だから、嫌ならハグもやめる。……ゴメンな?困らせてしまった。」


そう言いながら、無理に笑った。笑顔の形を、なんとか保っていた。


でもそのとき、樹の腕が不意に伸びてきた。

次の瞬間には、俺は抱きしめられていた。


「……は?」


一瞬、状況がわからなくなった。

でも樹の体温は確かで、俺の胸の奥で何かが跳ねる。


「……整理は、まだついてない。でも、お前の気持ちを知れて、よかったと思ってる」


樹の声が、すぐ耳元で落ち着いて響いた。だけど少し、焦りも混じっていた。


「俺は……その、気持ち悪くはない。ハグは、していい」


「……ほんと?」


「ほんと。でも……お前、まだ小さいから。だから、ちゃんと向き合うのは、高校卒業してからでもいいか?」


その言葉に、胸の奥が熱くなった。

しばらく何も言えなかった。けど、自然と腕が動いて、俺からも彼を抱きしめ返していた。


「……樹、やっぱお前かっこいいな」


ぼそっと呟いて、ふっと笑う。


「言いたかっただけなんだ。好きって。秘密にしてるのが嫌だった」


「うん」


「だから、待つ。……それまでは、今まで通り、ハグさせて」


「……ああ、いいよ」


そう答えた彼の声が、いつもより少しだけ優しかった気がした。


夕暮れの公園。

誰もいないベンチの上で、俺たちはただ、静かに抱き合っていた。

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