片方が死んだらどうする?
配信中、リスナーから「もしどっちかが先に死んだらどうする?」という質問が届く。樹が読み上げて、少しだけ沈黙が流れる。
「……わりと考えたことある。」
「あるんかい。」
「うん。俺は、大事な人が死んでも、そのまま未亡人として生きていけるタイプだと思うよ。静かに、丁寧に、周囲に感謝しながら、生活を続ける。でも……それだと、俺がどれだけ樹を愛していたか、伝わらないだろ?」
「……うん?」
「だから、俺は証明するためにすぐに後を追うと思う。『こんなにも愛してた』って、そう言える生き方をしたいから。」
(コメント欄) 「え、重……」 「ちょっと待って真顔で言わないで…」 「愛のかたちがすごい」
「……俺は、多分、生きるかな。痛いのも怖いし、死ぬ覚悟ってたぶん、俺にはないと思う。ごめんな」
朝倉は小さく首を横に振るだけ。表情は静かで、でもどこか淡く微笑んでいるような雰囲気で言葉を返す。
「いいよ。俺がそうしたいからするだけだ。樹が生きてくれるなら、それでいい」
樹が眉を寄せる。どこか言葉を探してるように口を開きかけて、でも閉じて、結局苦笑いになる。
「でもさ、それ重くない? お前、すぐ後を追うとか言ったよな今」
「いや……うん……うわ……マジで重いな、やっぱ」
「でも、そういうこと言われても俺は……ごめんな、多分死ねねえし。情けないけどさ」
「情けなくないよ。それはそれで正しいと思う。ただ、俺が勝手に選ぶだけ。重くても、そこは俺の自由だろ?」
またコメント欄がざわつく。
【あー無理】【好きだけど怖い】【それでも朝倉が好きだ】【やっぱりこのふたりの温度差がクセになる】
樹が肩をすくめる。
「お前って時々、俺よりずっと大人だよな。でもさ……俺、朝倉のそういうとこ、嫌いじゃない」
その言葉に、朝倉がふわりと笑ったような気配を漂わせる。無言で何かを納得したように、ただ、静かに頷くだけ。
コメント欄は、静けさのなかにざわめきを残しながら、ふたりの空気をじっと見つめていた。




