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愛しいあなたと  作者: 飴とチョコレート
第二章 高校生編
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朝倉くんまとめ動画

放課後、自室。

いつも通り制服をハンガーにかけ、髪を解いてブラシで整えていた透は、ふとスマホに届いた通知に目をやる。


「“AsaTube”おすすめ動画:『朝倉くんまとめ【4歳からの一途な愛/お世話焼き男子の本気】』」


「……なんだそれ」


見覚えのない切り抜きチャンネルの動画サムネイルには、自分の写真。しかも例の寝落ち配信のワンシーン――「愛してるんだ」発言直後の顔。


無言で動画を再生する。


 ――『朝倉くん、ちょっとだけ質問してもいい?』

 ――『……ああ。どうぞ』


配信者とのやり取り、コメントに苦笑して答える自分、そして――


 ――『大好きだよ。愛してるんだ』


「………………」


透の指が、ブラシを持ったまま止まった。


映像は続く。


寝落ちした樹をお姫様抱っこで運ぶシーン、樹の部屋で料理する話、恋愛相談のフォローで「高校卒業まで待ってるって本当?」と確認されて「当然だ」と微笑むシーン。

BGMはピアノのやさしい旋律、字幕付きで視聴者にとって“尊いまとめ”になっている。


 ――【推し活の理想形すぎる】

 ――【高校卒業まで待つってどんだけ一途なんだ】

 ――【恋とか通り越して信仰では?】


「……俺、信仰なのか……?」


鏡を見ると、思ったより顔が赤かった。

恥ずかしくて目を逸らす。


「……知ってるよ。そんなの、自分が一番……。でも、動画になってるのを見ると……変な感じするな」


スマホを伏せる。


「……まぁ、悪くなかったけど」


不意にふわりと笑う。

それは、前世でも、今でも、ずっと“推し”を好きでいた人間の――くすぐったい幸せの笑みだった。


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