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愛しいあなたと  作者: 飴とチョコレート
第二章 高校生編
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リスナーと恋愛相談

アーカイブを見終えた樹は、自分の顔がどれだけ赤くなっているか、よく分かっていた。

「……マジで言ったのか、あいつ」


椅子にもたれ、天井を仰ぐ。

心臓が、配信を見ていたときからずっと落ち着かない。


愛してる、だなんて――あいつ、平然と……。


そして、数日後。

いつも通りの雑談配信が始まったはずだったのに。


【付き合ってるの?】

【朝倉くんの「愛してる」はガチでしょ?】

【付き合ってるんだよね?】

【早く結婚して】


コメント欄が恋バナモードに染まりきっていた。


樹は配信中にも関わらず、思わず額に手を当てて小さくうめく。


「……いや、マジで……あいつが俺を好きなのは、たぶん4歳くらいの時からだぞ」


【ファッ?!】

【ガチ恋歴長すぎる】

【10年以上ってこと?!】

【一途すぎる……尊い】


「……高校卒業までは待っててくれって言われてる。あいつな、告白されても全部断ってるらしいし……」

「お前が好きだから、って。……なにそれって感じだよな」


【強すぎる愛】

【それを全部受け止めてる樹くんもすごい】

【いやでも、それだけ想ってくれるのは本当にすごいことだよ】


樹は、少しだけ口を引き結んでから、言葉を探すように続ける。


「……でも、俺があいつを好きかどうかは、わからないんだよな」

「だってさ……俺も男だし、あいつも男だし……なんか、いろいろ考えちゃって」


【性別の壁はデカいよな】

【でも人を好きになるのに性別関係ある?】

【好きになった人がたまたま同性だっただけって言うし】

【一回恋愛感情かどうか確かめてみたら?】


「……確かめるって、どうやって……?」


思わず本気で返してしまってから、樹は恥ずかしくなって机に突っ伏した。


【wwwww】

【かわいいかよ】

【素直でよろしい】

【一回デートしてみよ?】

【朝倉くんは多分『今日はデートだからな』って言ったら付き合ってくれる】


「……あいつなら、言えば全部受け入れてくれそうで、怖いんだよな」


【受け入れてくれるって思える時点で信頼してる証拠では?】

【そこまで分かってるならもう……恋では?】

【じゃあ付き合ってみよう(圧)】


樹はコメントを見ながら、なんとも言えない笑みを浮かべて呟いた。


「……はは。俺って……もう、結構やられてんのかもな」


その言葉に、コメント欄が一斉に沸き立った。


【やられてる!!!】

【認めた!】

【これは進展くるぞ】

【付き合ったら教えて!】


配信はそのまま、恋愛相談を続けながら、いつもより少し長く続いた。

画面の向こう、眠っている透は知らない。

――この夜、ほんの少しだけ、樹の心が透へと傾いたことを。


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