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愛しいあなたと  作者: 飴とチョコレート
第二章 高校生編
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野球部の試合での再会

その日、透は野球部の春季大会の試合を応援しに、隣町の高校のグラウンドへと足を運んでいた。スタンドの最前列で静かに声援を送る透の姿は、黒髪を一つに束ねた長身で人目を引く存在だった。


──すると、ふと視線の先に見覚えのある姿があった。


「……優菜?」


声をかけると、帽子を被りスコアボードを手にしたマネージャー姿の少女が振り返った。


「えっ、透!? え、うそ、なんでここに!?」


「応援。友達の学校の試合だから。……久しぶり」


そう言って、透は一歩近づく。


「ギュッ、してもいい?」


「うん、もちろん!」


自然なやりとりのあと、透は優菜をぎゅっと抱きしめ、額に軽くキスを落とした。久々の再会を喜び合う2人。──だが、近くで見ていた野球部の選手たちは騒然とした。


「え、今の……キス!? え、優菜マネって……彼氏いたんじゃ……」


「やばくね? 今の、完全に浮気現場……!」


そんなざわついた空気の中、グラウンドの向こうから走ってきた1人の男子生徒──涼太が現れた。


「おーい! 優菜、透ー!」


その声に透と優菜が顔を上げる。


「涼太。来てたんだな」


「ああ、応援と、お前に会えたらラッキーかなって思ってた!」


……そして、次の瞬間。


透は涼太に向き直り、少しだけ首を傾けながら言った。


「涼太も、久しぶり。ギュッ、していい?」


「もちろん!」


抱きしめられながら、涼太は当たり前のように透の頬にキスをもらう。


──そんな光景を見た周囲の野球部員たちは、今度こそ絶句した。


「えっ……彼氏……? 彼女……? え? ん? 修羅場じゃないの……?」


「なにあの爽やかさ……。爽やかすぎてむしろ混乱する……」


優菜は笑って言った。


「大丈夫だよ。私と涼太をくっつけてくれたの、透なんだよ」


「うん。2人が仲良くて、何より」


透はそう言って、ふわりと微笑んだ。いつもの、言葉少なで真っ直ぐな優しい笑顔。


そして、どこか整いすぎていて浮世離れした雰囲気に、また周囲が息を呑んだ。


──透は透のままで、愛を伝える。

相手が誰であっても、変わらず。

そして、それを信頼して笑う仲間がいてくれる。


そんな関係性が、そこにあった。

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