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愛しいあなたと  作者: 飴とチョコレート
第二章 高校生編
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オタクの生態

配信中の画面には、いつもよりちょっとだけ口数多めな朝倉と、横でまったり聞いてる樹の姿。


「いやでも最近さ、クラスのオタクの子に聞いたんだけど、推しのグッズって“使う派”と“飾る派”と“布教用で複数買う派”がいるらしいんだよな」


朝倉の声はいつも通り落ち着いてるけど、その語り口には妙にリアルな温度があった。


「それぞれの派閥で正義が違うんだって。“使うことで推しの恩恵を日常に取り込む”とか、“推しを劣化から守るために未開封保存”とか、“他人に布教してこそ正義”とか。わかる気もするけど、だいぶ奥深い」


樹は隣でお茶をすすりながら「へえ〜、そんなに分かれてんだな」と素直に感心してる。


コメント欄にはすぐ反応が出た。


「やべぇ!リアルにバレてる!」

「朝倉くん、何でそんなに詳しいの!?」

「クラスメイトのオタク、誰だ!おまえか!?(疑心暗鬼)」

「朝倉くんお友達にしないで……内緒の文化圏だったのに……」

「涙ながらに『教えなきゃよかった』って後悔してそうで草」


朝倉はそのコメントを流し見て、ふっと笑う。


「別に悪用しないから大丈夫。ちゃんと“聖域”として扱ってるし。あと、布教用3つ買って1つは未開封で持ってるって聞いた時、“それ用”があるんだなって感心した」


「え、グッズってそんな買い方すんの? 三つ?」


「推しのグッズだと“保存用、使用用、布教用”って言うんだって」


「へぇ〜、なるほどな……すげぇな、オタク界」


樹は完全に知らなかったらしく、目を丸くしてちょっと笑ってる。


朝倉は相変わらず淡々としてるけど、やけに的確に話を進めていく。


「あと、“推しの誕生日にはちゃんと祝う”“推し活の予定は最優先”ってのも聞いた。そこまで行くと、もはや信仰に近いなって」


コメント欄がさらにざわつく。


「信仰って言わないで!」

「朝倉くん、教わりすぎィ!」

「そのクラスのオタク、なぜそこまで喋った!」

「朝倉くん優しいからつい話しちゃうんだろうな」

「オタクの掟、守りたかった……(遠い目)」


朝倉はちょっとだけ眉を下げて、「ごめん、喋りすぎたかも」と言う。


「でも、そういうの聞くと面白いよ。専門知識ある人の話って、やっぱり惹かれる。俺、けっこう布教されるの好きなんだよね」


「……布教されるの好きって、なんかすごいな。そういう人、俺の周りあんまいないぞ」


「うん。だってさ、語ってる時の熱量って、本物じゃん。そこにちゃんと意味があるんだって伝わってくる」


コメント欄のテンションがまた一段上がる。


「朝倉くん……オタク界の聖母じゃん……」

「何それ、うれしすぎる……」

「一生分かってくれてありがとう」

「それ言われると布教したくなる!」

「俺も推し語りたい、朝倉くんにだけは聞いてほしい」


樹が「朝倉、なんかすごいことになってんぞ」って笑いながらコメント見てて、朝倉は静かに「俺、聞くのは得意だから」とだけ返す。


そのやり取りがまたコメント欄の火に油を注いで、画面には「オタクの聖域を理解する陽キャ」の誕生に、ざわついた愛の声があふれていた。


図書室よく利用してたら図書室の先生に気に入られて、本のかいつけに同行したっていうのはわたしの実話です。楽しかったな...

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