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愛しいあなたと  作者: 飴とチョコレート
第二章 高校生編
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図書室

「……いや、俺もちょっと意味わかんなかったんだけどさ」


画面に映る樹は、苦笑しながら椅子に肘をついて話し始めた。

今日の配信は一人。でも、話題の主役は例によって“あいつ”だ。


「朝倉がさ、学校の図書室の先生にめちゃくちゃ気に入られてるって話をしてて。なんでって聞いたら、あいつ、真顔で“ちゃんと条件を守ってるから”って言うの」


《条件?》《なんだそれ》《もう始まりがRPG》《また意味わからんすごさ出してきたな》


「なんか……まず“ルールを破らない”のが第一条件らしい。“図書室は静かに”“本は期限内に返却”みたいな、基本的なやつな。それを守ると“先生からの信頼値が上がる”らしい」


《信頼値www》《もはやパラメーター》《まさかの攻略対象》《好感度制のNPCか?》


「で、さらに、“図書室にまめに通って、本の貸し出しをする”“蔵書のリクエストをする”と、追加ポイントが入るって」


「……そしたら、“図書室の本のかいつけイベントが発生する”って言い出して」


《????》《イベント??》《もう完全にギャルゲ》《朝倉、現実をRPGで生きてる説》《スチル出てきそう》


「まじで、“今日は先生が裏棚の新刊をこっそり見せてくれた”とか言ってたし、もう図書室の先生ルート入ってるよ、あれ」


「しかも“気に入られてる自覚があるから、たまに返却期限前に返すことで“几帳面さ”の印象を深めてる”って言ってた……こわ……」


《朝倉、戦略型ギャルゲ主人公》《もうこれルート確定》《ちゃんと全行動に意味があるのすごい》《なにその恋愛シミュ的思考》


「俺が“なんかギャルゲみたいだな”って言ったら、“そうか?”って返されてさ……いや、めちゃくちゃそうだよ。自覚ねえのかよ」


「てかそもそも高校でそんなに図書室通ってるやつ、今どきあんまいないだろ。あいつ、普通に週2〜3で行ってるってよ。しかも雑誌とかじゃなくて、“近代フランス文学の系譜”とか借りてる。……いや、なんでだよ」


《内容までガチすぎる》《普通に大学の図書館レベル》《朝倉、ほんとに高校生?》《図書室の神に愛された存在》


「で、“先生が興味持ってるテーマの本を借りると、先生との会話が増える”って言ってた」


「いやもう、なんか……お前ほんとにリアルの生活してる?ってなるわ」


《これはもう完全にギャルゲー朝倉ルート》《図書室イベントCG解禁されてそう》《朝倉は生き方がゲーマーすぎる》《どの世界でも攻略してくスタイル》


「ま、でも“人から信頼されるには、まずちゃんとルールを守るとこから”って、理屈としてはわかるんだけどな。朝倉がやるとなんか、説得力あるというか……スクリプト感があるというか……」


「ほんと、毎日が攻略対象との好感度上げイベントだよな、あいつ」


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