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愛しいあなたと  作者: 飴とチョコレート
第二章 高校生編
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新しいクラス

入学式のあと、透は体育館前の掲示板に貼られたクラス分け表の前に立っていた。

「1年B組──…俺、ここか」


その隣にはすでに、透の幼なじみである何人かの顔ぶれがいた。小中学校を一緒に過ごしてきた旧友たち。名前を見つけるたびに、透はほんの少しだけ目元を和らげていく。


「おい、透じゃん! マジで同じクラスかよ!」


「うん。嬉しい」


駆け寄ってくる友人に、透は自然に言った。

そしておもむろに一歩近づくと──


「ギュッてしてもいい?」


「……相変わらずだなお前。いいよ、ほら」


了承を得ると、透は長身を少しだけ折り、きゅっと相手を優しく抱きしめた。

「会えてよかった。これからもよろしく」

そう言って、親しい男子の頬に軽くキス。

別の女子には、髪をそっと撫でてから額に。


「う、うわー……キス魔再来かよ透~!」


「ちゃんと聞いてるから問題ない。嫌ならしない」


落ち着いた口調で淡々と返す透に、昔からの知人たちは笑いながら受け入れていた。

そんな光景を、後ろから見ていた初対面のクラスメイトたちは──ぽかんと口を開けていた。


「……すげぇ……なんかもう、強キャラ感えぐい……」


「ちょっと、あれ本気でやってるの? でもなんか許されてる……」


困惑とざわめきの中、透は新しい顔に気づいて近づく。すっと右手を差し出して、クールな表情で言った。


「はじめまして。透。仲良くしたいから、握手してもいい?」


「……え、あっ、う、うん!」


そのまっすぐな瞳と落ち着いた声に、断れる者はいない。

握手を交わすと、透は小さく、けれど確かに笑って言った。


「これからよろしく。友達には……ギュッとしたくなるかも。でも、ちゃんと聞くから安心して」


その場にいた誰もが、その瞬間、透という存在に強烈な印象を刻まれた。


──まだ高校生活は始まったばかり。

けれど、透はいつも通り。変わらぬ愛情の示し方で、自分の世界を静かに広げていく。


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