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愛しいあなたと  作者: 飴とチョコレート
第二章 高校生編
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結界

深夜のまったり雑談配信。ゲームを一段落させて、コメント拾いながらのんびりと喋ってる最中。


「てかさ、お前そういう不思議系って信じるほうなん?」


「……うん、ある程度は」


「へぇ、意外と肯定派。……あ、じゃあさ、前に言ってた“霊感あるっぽい人に視られた”って話、あれってほんと?」


「うん、本当。ていうか、俺、ちょっとの間そっちの人のとこで修行してた」


「……修行?」


「うん。教会とかじゃなくて、民間の。いわゆる“見える系”の人。山奥。結界の張り方とか、気の整え方とか、護符の意味とか。実技付きで」


「え、え、え、ちょっと待って、それ今まで黙ってた?」


「別に黙ってたわけじゃない。ただ、話す機会がなかっただけ」


コメント欄が一気にざわつく。


《!?》《朝倉って何者なの!?》《修行!?どこの話!?》《え、そういう話OKだったの?》《なんで急にそんな重要なことを》

《普通に受け入れてる樹もなんかおかしい》《ガチの人じゃん……》《もはやアイドルじゃなくて祈祷師》


朝倉はというと、すっと立ち上がり、どこかへ行って戻ってくると、小さな器や紙、石のようなものを手に持ってきて、机の上に並べ始める。


「……何してんの?」


「忘れないうちに、結界貼っとこうと思って」


「え、今ここで?配信中に?」


「うん。画面越しでも繋がりやすいから、枠終わる前に処理しといた方がいい」


「……処理って言うな。誰か来てんの?」


「いや、今日は静か。でも、念のため。なんかさっきコメント欄の一部が妙に引っかかったから。保険」


コメント欄大荒れ。


《え、なにそれ》《え、え、誰か憑いてた!?》《俺!?》《ごめん!!謝っとく!!》《こっちもセージ焚いた方がいい?》《家の四隅に塩撒いてきます》


朝倉は淡々と、紙に何かを書いて、小さく折りたたんで指で押し、手元で石の上に乗せたり、水の入った器に浮かべたりしながら作業を続けてる。


「この前教わった“触媒の分散配置”。ネット越しの配信は、“意図しない接続”が起きやすいからな。少しでも縁を切っとく」


「……あー、うん、よくわかんないけど、お前がそう言うなら信じる。というか……俺のためにもなるなら、ありがたい……ってことにしとくか……」


「うん、それでいい。お前が無事であればそれでいい」


コメント欄さらにヒートアップ。


《彼氏限定プロテクション!?》《愛の結界!?》《もはやお祓い彼氏》《この人なにしても絵になるのずるい》《安心と信頼の朝倉印》《さすが霊媒師系元修行者》《それでピアス開けられないんか?》《守護霊強そう》


「……なんかすごいことになってるな、コメント欄」


「気にするな。今日は“整える”日だ」


「うん、わかった。……あの、ちゃんとあとでやり方教えて。俺、何か変なもん引き寄せてたらやだし」


「……お前が“やだ”って言うなら、もっと強いの用意する」


「なんか怖いけどありがとな……朝倉……」


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