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愛しいあなたと  作者: 飴とチョコレート
第二章 高校生編
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タロット占い

のんびり雑談配信の夜。

ゲームを一区切り終えて、いつものように飲み物を飲みながらゆるーく喋ってる時間。


「最近ハマってるものって何かある?」


「……ある」


「お、珍しいな。なんだ?」


「タロット」


「……え、タロット?カードの?」


「そう。78枚の……ライダー版。今の主力はウェイトスミス版のリミテッドエディション」


「え、思ったより本格的じゃん。あれ?それって、昔ちょっと触ってなかった?」


「うん、でも最近本気になった。図書館で洋書とか借りて、原典の『カバラ思想』のとことか読み直してる」


「洋書……え、えーっと、まじ?」


「あとセージ焚いて浄化してる」


「お香みたいなやつ?あの葉っぱ燃やすやつか?」


「そう。月の満ち欠けに合わせて浄化する日も決めてる。満月の夜に光を当てるとカードが柔らかくなる」


「……柔らかくなる?いや、紙だよな?」


「エネルギー的な意味で」


コメント欄がざわつく。


《え、ガチ勢じゃん》《朝倉のそういうとこほんと好き》《セージ焚くってやばくない?》《満月の浄化?かっこいい》《ライダー版って初めて聞いた》《そんなレベルでハマってるとは……》《もしかして占ってたりする?》


「ちなみに誰にも触らせてない。樹もダメ」


「え、俺も?」


「当たり前。人の気配が混ざるとカードが穢れる」


「穢れるって……俺の手、そんなヤバい?」


「違う。お前じゃなくても他人が触ったら“その人の要素”が入り込む。タロットは“触った人の意思”に反応するから、持ち主以外が触ると精度が下がる」


「……やば、こわ、なんか呪術感あるな」


「まあ、占いは読み手の解釈ありきだから。カード自体はただの情報の並び。でも並びの中に答えがあるって考えると、触らせない理由、わかるだろ」


「いや、まぁ……うん……真面目な顔で言われると説得力あるけど、あれだな、お前がやるとめちゃくちゃ“儀式”っぽくなるな……」


コメント欄も興味津々。


《え、朝倉の占い受けてみたい》《カード触ったら怒られるんだろうな》《浄化とか初めて聞いた》《想像以上に本気だった》《配信者ってより司祭》《樹が触ったらなんか起きそう》《占ってって言ったら怒るやつだこれ》


「……でもさ、やっぱ聞くけど、何占ってんの?運勢?恋愛?」


「いや、今日の自分の視点とか、“正しさ”の感覚がずれてないかの確認」


「え、それ自己診断的な使い方なんだ」


「うん。他人のためにはあんまり使いたくない。占いって、言葉が重いから」


「……ああ」


「言葉を間違えると呪いになる。軽く見られるけど、“タロットで言われたから”っていう理由で、誰かが不幸になるのは……好きじゃない」


コメント欄が一瞬静まりかえる。


《……》《わかる気がする》《ガチの人の言葉だ》《軽く言えない理由があるんだな》《信念あるのかっけぇ》《占ってとは言えなくなった》《これが朝倉か……》


「だから、自分のためにだけ。あと、部屋に飾ると映える。綺麗だし、絵柄も好み。最近はイラスト集めもしてる」


「なるほど……趣味かつ、修行でもあるって感じだな……」


「まあそんな感じ」


「……お前、もっと軽いノリで言うと思ってた。なんかごめん」


「気にするな。話題に出したのは俺だから」


コメント欄は最後までしんと静まりつつ、どこか温かい雰囲気で流れていた。

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