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愛しいあなたと  作者: 飴とチョコレート
第二章 高校生編
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怯え

深夜テンション気味のまったり配信。ゲームも一段落ついて、飲み物を飲みながら雑談中。


「……なあ、今ふと思ったんだけどさ」


「ん?」


「朝倉が怯えてるとこって、俺、見たことなくない?」


「……ああ」


「怖がるとか、ビビるとか、パニクるとか……まじでないよな。虫も平気だし、ホラーも微動だにしないし」


「……なるほど。見たいのか?」


「いや、そういうわけじゃ……いや、まあちょっとは見てみたいかも」


「いいぞ」


「え?」


朝倉がぴたりと姿勢を正し、少し下を向いたと思った瞬間——


「やだ……やだやだやだ、こわいこわいこわい……やめて……っ、やめてよぉ……!」


ぶるぶると肩を震わせ、両手で頭を抱えて、虚空を見上げた朝倉が、ぽろぽろと涙を流すような顔で叫ぶ。


「助けて、誰か……助けてっ……こわい、ひとりにしないで……お願いだから、もう、やだ……!」


コメント欄が一瞬で凍る。


《!?》《え?》《なんか始まった》《ちょ、どうした?》《こわいこわいこわいこわい》《涙出てるように見える……》《え?演技?演技だよね?》《心臓に悪い》


樹も一瞬呆然としてたが、すぐに椅子から少し乗り出して朝倉の方に手を伸ばしかける。


「おい……ちょっと待って、朝倉?」


「……たすけて……!」


「いや、ほんとに大丈夫か?……いや、これ演技……だよな?だよな?っていうかそうであってくれ」


「やだやだやだ、死にたくないっ……やだぁあっ!」


朝倉の叫びは、聞いているだけで喉が締めつけられそうな、リアルな声。


樹が本気で焦った顔になり、マイクにかぶりつくように口を近づけて必死に呼びかける。


「なあ朝倉、マジで、やめとけ!これ以上は本気で怖い!」


すると、朝倉がすっと顔を上げ、普段の落ち着いた無表情に戻り、淡々と一言。


「……以上、即興でした」


「おまえなあああああああ!!」


椅子をどんと鳴らしてのけぞる樹。


コメント欄が一気に爆発する。


《やめろマジで泣くかと思った》《演技かよ!!!》《心臓止まるかと思った》《樹の焦り方ガチだったな》《こわすぎてスクショも撮れなかった》《え、天才?俳優?》《配信でやることじゃねえって!》《これ見た人全員魂削れた》


「……お前、どんだけうまいんだよ……!演技ってわかってたのに、途中から心臓バクバクしてたわ!」


「よかった。じゃあ演技力には自信持っていいな」


「ちがう、そういう話じゃねえ!怖すぎるんだって!」


朝倉は特に悪びれる様子もなく、飲み物を一口。


「お前が見たいって言ったから」


「いやもう二度と言わねえ!!」


コメント欄も《樹のトラウマが増えた》《しばらく寝る前に思い出しそう》《でもちょっと……また見たい》《怖いけど好き》など、賛否両論で盛り上がり続けた。

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