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愛しいあなたと  作者: 飴とチョコレート
第二章 高校生編
121/152

ナニカ

【夜の二人配信。ジャンルはホラーゲーム。ゲーム内の探索中、まったりした空気】


「こっち行く? 鍵かかってるっぽいけど……あ、いや、その前にこの部屋探索するか」


(カチャカチャカチャ……)


(唐突に、朝倉がすっと立ち上がる)


「……? どした?」


(そのまま無言で部屋の隅へ歩き出す)


(そして――何もない空間に向かって、まるでそこに“何か”がいたかのように、片足で虚空を――)


  ズドンッ!!!


(明らかに重いものを蹴り飛ばしたような鈍い衝撃音)


(……一瞬の沈黙)


(そのまま何事もなかったように椅子に戻り、イヤホンをつけてコントローラーを握る)


「……さて、続きやるか」


「……待て待て待て待て」


(ジト目)


「今、お前、何蹴った?」


「……ん? ああ、まあ……なんでもない。気にしないで」


「いやいやいやいや気にするだろ!?!?なにあの音!?絶対に“何か”いたろ!?俺がヘッドホン越しでも“鈍い音”ってわかったぞ!?」


「……いや、別に……そういうのじゃない。気のせい。うん。まあ……一瞬だけ“現れた”ってだけで。問題ない」


「え、現れた!?!?えっ!? やっぱなんかいたの!?!?いや怖い怖い怖い怖い!!!!“現れた”って、霊的な方の“現れた”じゃないよな!?生物!?実体!?害虫!?精霊!?何だよ!!」


(朝倉は淡々とゲームを再開しながら、小さく笑ってるだけ)


「お前さあ、もうちょい……説明してくれよぉ……怖いじゃんよぉ……」



---


(コメント欄)


《今の音ガチで怖かった》《誰か巻き戻して何秒か確認してくれ》《なんか蹴った音だったのに、画面に何も映ってないの何!?》《朝倉さん今……「一瞬現れた」って言ったよね!?》《なにが!?なにが!?》《また何か“視えてる”系!?!?》《蹴ったってことは見えてるだけじゃない!?》《サラッと除霊しないで!?!?》《やめてほんとこわい》《ホラーゲームより朝倉の動きの方がホラー》《怖いけど……好き……》《樹さんが人間代表で安心する》《なんでもないって言われて何もないわけあるかあああああ!!》《逆に何があって“なんでもない”って言えるんだよ……》《朝倉さん、たぶんそういうとこだぞ……(好き)》



---


「……まあ、消えたからいいじゃん」


「よくねぇよ!!“消えた”って言うな!!!」


(朝倉は、静かにコントローラーを動かしながら、ニコッと笑う。その目は、ちょっとだけ、冗談には見えなかった)


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