表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛しいあなたと  作者: 飴とチョコレート
第二章 高校生編
115/152

浮気したらどうする?

【夜のまったり雑談配信中。二人でゲームの合間にリスナーからの質問を読み上げている】


朝倉「──次、“もし相手が浮気したらどうしますか?”

……なかなか攻めてる質問、来たな」


(一瞬だけ画面に静寂が流れる)


樹「……」


(カメラをじっと見つめたまま、目の奥に一切の光がない。

それなのに、口元だけがにっこりと穏やかに笑っている)


「うん……そうだな。

俺が浮気されたら──たぶん、まず笑うと思うんだ。

こうやって……ニコォって。こんな感じで。

相手が不安になるくらい、笑顔で」


(そのまま穏やかなトーンで続ける)


「んで……静かに脚の腱を切って、歩けなくして、

どこにも行けないようにして……部屋の隅に座らせて、

『もう心配しなくていいよ。これからは俺が全部、世話してあげるから』って、言うと思う」


(その顔にまるで怒りも悲しみも浮かばない。ただ“決めた顔”)


(コメント欄、凍る)


《……あ?》《え?今……?》《ひえぇぇ》《その笑顔やめて》《マジでニッコリしてるの怖いって》《腱切る発想どこで覚えたんだよ》《もう質問したやつ出てこい!》


朝倉「……」


(何も言わずに、無言で見つめ返す。やっぱり目の奥に光はない。

それでも口角は動かない。笑っていない。けれど、怒ってもいない)


「……俺が浮気されたら?」


(淡々と、感情の色がまったく乗っていない声)


「……たぶん、“もう俺、いらない”って思う。

だから、『別れてくれ』って言われたら──ちゃんと了承する。

うん、納得して、別れると思う。……ただ」


(ふっと一拍置いて)


「……そのあと、ストーカーになるかな。

視界には入らないけど、“どこかにいる”っていう存在感だけ残して……

夜、ひとりでいるときに、ふと気配を感じさせる。

安心できないようにして、でも危害は加えない。

ずっと、『いた』ってことだけ、忘れないようにしてもらう」


(淡々と、まるで事務的な説明のように)


(コメント欄、発狂)


《待って》《やめて待って》《樹がヤバいかと思ったら朝倉が一番リアルで怖い》《感情ない声が一番刺さる》《怖すぎて手が震えてる》《“存在感だけ残す”ってどうやるの》《ホラー映画のモンスターが言いそうなセリフだったんですが!?》《ニコニコで腱切るやつと真顔でストーカーになるやつの配信てなに??》


樹「……」


(なおハイライトは消えたまま、笑顔で)


「──なんか、照れるな」


朝倉「……うん。ちょっと……恥ずかしいな。

俺たちさ、付き合ってるっていうか……壊れ方が似てるんだなって、改めて思った」


樹「壊れてんのか、俺ら」


朝倉「壊れてる。認める。でも、相性はいいと思う」


(コメント欄さらに混沌)


《照れてる場合か!!》《“照れるな”って言葉がここまで怖いとは》《この二人に恋愛の話させちゃいけないってよく分かった》《安心させるワードが一個もなかった》《むしろ安心できないようにするって言ってた》《浮気どころか他人と話したら刺されそう(褒め言葉)》《いや褒めてないわ!》《助けて!》


朝倉「じゃ、次。……“最近食べたおいしかったものは?”

……やっぱこういう質問、ホッとするな」


樹「でもお前、さっきまで“気配を残す”とか言ってたやつだよな」


朝倉「お前だって“腱切る”とか言って笑ってたよな」


(コメント欄:

《温度差で風邪ひいた》《地獄の後のスイーツタイム》《この配信地獄から帰ってきてパンケーキ食べてるみたいな感じ》《なかったことにすんな!!》)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ