表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛しいあなたと  作者: 飴とチョコレート
第二章 高校生編
111/152

怖い話?

【タイトル:『100の怪談を語る夜』~Discord通話企画~】


夏の夜。

複数人の配信者が集まり、それぞれが「怖い話」を一つずつ持ち寄って語るという企画が始まる。


会場はDiscordの通話サーバー。

リスナーはそれぞれの配信者のチャンネルから視聴可能、主催者は司会進行も兼ねて、順に参加者を呼び出していく。


そして――終盤。

「では……お次、朝倉くん。お願いできますか?」


「うん」


朝倉の声は静かで、よく通る。

普段から言葉少なめな印象があるぶん、その話し始めにみんな耳を澄ます。


「これは……俺が中学生の頃に、本当にあった話なんだけど」


《実話!?》《本物きた》《朝倉さんの語り口、なんか怖い》《音の消し方がうまいな》《なんかマジで鳥肌立ってきた……》


「その日、うちの部活メンバーの一人が、来なかったんだ。

いつも時間ぴったりに来るやつで、すごく真面目で……でもその日だけ、姿が見えなくて。

顧問も電話してたけど、出なかった。家にも連絡したけど、親も“出かけたまま戻ってない”って」


空気が凍る。Discord越しでも、その“異常な”気配が伝わる。


「でも――校舎の裏にある、小さな物置の中から、うっすら声が聞こえた。誰もいないはずの場所で」


主催者が一瞬、咳払いをする。コメント欄は沈黙に近い。


「それで、俺、確かめに行ったんだ。

物置の前に立ったとき、中から、“たすけて”って声がした。だけど――その声、友達の声じゃなかった」


《やめてやめて》《声まねとかじゃなくて?》《物置の話やばいって》《ここ、今夜寝られないやつ》


「でも、俺……気付いたんだ。

あれ、“俺を呼んでる”声だったんじゃなくて、“俺に近付く誰かを呼んでる”って。

つまり、“俺を餌にして誰かを誘ってる”ような、そういう感じで」


主催者「…………(無言)」


朝倉「で。開けたら、そいつがいた。

顔がぐちゃぐちゃで、骨の位置もおかしくて、関節も逆向きで、どう見ても人間じゃない。

笑いながらこっちに伸びてくるんだ。“見つけた”って顔で。

俺、たぶん、あのままだったら、ここにいなかったと思う」


リスナー「「「…………(コメント止まる)」」」


朝倉「だから、**蹴った。**全力で。回し蹴りで顔面ぶっ飛ばしたら、頭がゴンッて棚に刺さって動かなくなった」


主催者「……え?蹴った……?」


朝倉「うん。で、そこからバタバタ暴れだしたけど、

バランス崩した拍子に横のスコップ踏んで、自分で自分の首に突き刺して……気絶したっぽい」


コメント欄爆発。


《え?》《ええ??》《バイオレンスエンド!?》《心霊じゃなくて格闘だった!?》《棚に頭刺さるってなに!?》《え!?どゆこと!?》《オチ、カオスすぎんか?》


主催者「えーと……朝倉くん、それ、つまり……?」


朝倉「うん、だから“怪異だったかどうか”は分からないけど……

とりあえず、俺は“物理で解決した”って話。

霊とか怨念とかじゃなく、“殴れるなら倒せる”っていう感覚、あると思うんだよね」


《出たよ物理系除霊》《また殴って解決した》《なんでも回し蹴りすな》《朝倉くんの怖い話、途中まで本物なんだよ……途中までは》《格闘スピリチュアルは新ジャンル》


朝倉「俺、怖い話は嫌いじゃないけど……

“負けそうなやつの話”より、“勝ったやつの話”のほうが好きだからさ」


主催者「……ほんと、朝倉くんらしいよね……(笑)」


朝倉「ちなみに……スコップに突き刺さったやつ、後日また出てきたけど。

その時はハイキックで対応した。二度目はさすがに学習してたけど、負けなかった」


コメント欄:


《続きあるのかよ!》《だからなんでキックで勝てるんだ》《それもう武勇伝》《朝倉、なんなんだ》《完全に霊の天敵じゃん……》


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ