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愛しいあなたと  作者: 飴とチョコレート
第1章 幼少期編
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仲直りのその後

あの日から、リュウタはちょっと変わった。


「ミカ、今日も絵うまかったね。好き!」


「ミカ、今日の髪型かわいいね。好き!」


「お弁当、からあげ入ってた? 好き!」


毎日のようにミカに「好き!」を投げかけてくるようになった。しかも、ちょっと照れながらも真剣な目で言うもんだから、ミカも最初は戸惑っていた。


「……な、なにそれ……! ばか……!」


そう言いながらも、耳が赤い。


もちろん、最初は先生も周りの子たちも「またリュウタが変なこと言ってる〜!」なんて笑ってた。でも、透は知っていた。あれは、透が言った「ちゃんと好きって伝えよう」を、リュウタなりにちゃんとやってるってこと。


昼休み、滑り台の下でひっそり本を読んでいた透のところに、リュウタがやってきた。


「……透。ありがとうな。あの時、ハグしてもらって、言ってもらったこと……全部、俺、本気でやってみてる。」


透は本から顔を上げ、無表情のまま、ふっと笑った。


「うん。見てた。……ちゃんと、伝わってるみたいだな。」


「なあ……また、ハグしてもいい?」


「……いいよ。頑張ってるから。」


透はそっと立ち上がって、小さな腕をリュウタに回す。


「……好きって、伝えるのって、ちょっとこわいけど、伝わると嬉しいもんなんだな」


リュウタのその言葉に、透は静かに頷いた。


「うん。……それに、ちゃんと伝えるって、すごく優しいことだと思う。」


リュウタは照れたように笑ってから、元気よく走り出す。


「じゃあ俺、またミカに言ってくる! 好きって!」


透はそれを見送って、ぽつりと呟く。


「……かわいいやつ。」


その声は、誰にも聞かれなかったけれど、透の中のあたたかい光は、確かに強く灯っていた。

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