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愛しいあなたと  作者: 飴とチョコレート
第二章 高校生編
109/152

浮気?

【配信タイトル:「浮気現場の真相をお話しします。」※恋人公認です】


冒頭、いつもより豪華なセット――というか、カメラの画角もライティングもキメキメ。

画面には、黒髪の美女が座っていた。

黒のフリルワンピース、首元にはチョーカー、バッチリとメイクされた切れ長の目がカメラを見据える。


「はじめまして。彼の浮気相手で、恋人の朝倉です」


開口一番、それだった。


コメント欄が一瞬止まり、そして爆発する。


《待て待て待て》《話が混乱してるww》《恋人なのに浮気相手!?》《どういうこと!?!?》《見た目ガチで“美人な女”すぎて混乱する》《うそでしょ、朝倉……?えっ、えっ……女????》


そして画面の右側から、肩を震わせながら笑い堪えてる樹が登場。

目元は真っ赤で、すでに笑いすぎたらしい。


「……いやほんとにね、笑いすぎて腹筋ちぎれるかと思った……おまえ何やってくれてんの……」


「撮ったのはそっちじゃん。俺はただ、“恋人が浮気してる風”の顔をしただけ」


「いや完成度が犯罪なんよ……」


ここで、画面に昨日投稿されたインスタの写真が映る。

場所は高級ホテルのラウンジ風、シャンデリアの下、ワイングラス片手に微笑む美女(=朝倉)と、隣でネクタイを緩めて目を伏せる色男(=樹)。

コメント欄はすでに“ドキュメンタリー不倫映画のポスター”状態だと盛り上がっていた。


そしてその投稿のキャプション。


> 「彼が浮気してます。でも相手は俺です。 #女装 #恋人 #公認浮気 #ただの遊びです #って顔してる #真面目な交際です #朝倉」




それを読んだだけで、コメント欄が大爆笑。


《ちゃんと説明してるのに混乱が深まるタグ》《“でも相手は俺です”で死んだ》《全員が混乱してるのに朝倉だけ正気》《インスタ見てきた、いいね3万超えてる……》《ほんとに雑誌の表紙レベルなんだけど!?!?》《普通に芸能人の熱愛報道って言われたら信じるクオリティ》


樹がむせながら笑い、朝倉はすました顔でワイングラス(ぶどうジュース)を傾ける。


「正直、あの写真……“そろそろ匂わせ出してみる?”ってノリだった」


「出し方がヤバすぎるのよ。もっと普通にやれや……」


「……浮気風女装恋人って、普通じゃないの?」


「ねえよ!!!」


コメント欄が一層盛り上がる中、朝倉はさらに真面目な顔で語りだす。


「でもさ、俺の“女装”って、ただのネタじゃなくて。

ちゃんと骨格や動き、ポージング、メイクも全部“見られる”こと前提で仕上げてる。だから、“たまたま撮ったら女に見えた”じゃなくて、“見せるために作った女”なんだよね」


「ほんとそれなんだよな……だから写真がリアルすぎるんだって……てか、“俺が浮気してる風”の表情もなんであんな上手いん?」


「……目線と首の角度。それだけで“関係がある”ように見える。あとは、俺の肩をおまえの指がちゃんと触れてる感じにして……そうすると、“嘘じゃない”写真ができる」


「プロかよ!!!」


《演出ガチ》《女装で浮気風の写真を芸術に昇華させる男》《プロデュース力と演技力の暴力》《正直この二人の恋人ネタ最高に面白い》《この二人でドラマ出て》《映画化して》《ビジュアル勝ち組すぎる》


樹はようやく落ち着いた様子で、笑いながら言う。


「まあ、あの投稿で“女との浮気”だと思ってDM来た人、全員に“相手俺です”って返してるから。

誤解される前に、今日ちゃんとネタばらし配信したわけよ。……でも、これからもやりそうなんだよな、こいつ」


「やるよ。次は水着で砂浜かな」


「次の浮気相手、水着の朝倉かよ……」


《また浮気するんかい》《次回予告来たwww》《毎回恋人なのに浮気相手の朝倉》《朝倉が浮気しても恋人だし、恋人でも浮気してるし、概念が崩壊してる》


最後は、二人でふつうに仲良く笑いながら、「まあ、何に見えても事実はひとつだけだから」と締めて、

画面の端に、件のインスタ投稿が再掲されて、タイトルが浮かび上がる。


> 「“浮気相手”は、“恋人”でした。」


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