5話
「俺も、天心悪族って、本当なんですか!?」俺は驚きを隠せない。
「あなたの瞳を見れば分かります。左目は赤、それは悪魔の証、右目は青、天使の証です。」
俺に、そんな秘密があったのか。
「そして心臓は、歪んでいる。それは神の心臓の証。」
そんな体の内側まで見れるのか。
「同じ体質同士なら、可能性があるのです。そして付け加えると、あなたも人を愛せば死にます。」
え...
「良かったですね、今まで人を愛さなくて。」
なんとも皮肉な話だ。
「それで、そのすごい体質の俺に、どうやって彼女を救えと?」
「それは...」
また沈黙が続く。
「分かりません。可能性の話なので。」
それはあまりに無責任な回答だった。
「まずは情報収集からお願いします。店の営業権利を与え、主人の証も与えます。」
「店の場所は、リーマに案内させます。」
......だれ!?
「わたくしです。」
......ずっと一緒にいた男性のことらしい。
「それで、どうやって情報収集をすれば?」
『それはあなたがこれから考えてください。』
頭に声が響いた。ぎゅっと目を閉じる。
目を開けると、そこにはそれなりには大きい木の建物が建っていた。
俺は目を丸くしていたが、リーマが、「ここが、あなたのお店です。ご自由にお使いください。...そして...」リーマがパチン!と指を鳴らすと、そこにアリサさんが現れた。「この方にもお店を手伝っていただく事になりました。」
え...
「では、私はこれで。」そう言うとリーマは去っていった。
アリサさんと俺は目を合わせる。.......
「とりあえず、店の名前を決めるのと、仕事内容ですわね、でも私、何で働かされるのか聞いてないんです。どうしてなのか教えていただけますか?」
どうしたものか...
「今は、言えないですね、女神に言うなと口止めされてまして(嘘)。時が来たら、ちゃんと伝えますよ。それより、店名と仕事内容か。」
俺は悩んだ末、あることに気がついた。
「アリサさん、」
「なんでしょう?」
「この国って、ペット関係で困っている事とかありませんか?」
「それは、かなりありますが...」
「例えばどんなことですか?」
「そうですね、誘拐されたり行方不明だったり、ご飯の問題と主人との相性の問題など、それはまぁたくさんありますよ。あとは、預ける所がないところでしょうか。」
やはりそうか。
「決めました。仕事内容と店名。」
「なんですか?」
「店名はペットリアで、仕事内容は...困り事を解決して、ペットを預かる、ペットのための店です。」
「どうですか?」
そう聞くと彼女は「とっても良い案だと思います!ではまず宣伝と内装を施していきましょう!」
俺の人生、結構ハードモードだなとここで思ったのだった。
でもやるからには、最強の飼い主になろうと、俺は思う。