4話
「お願いって?」「私の声は覚えていますか?」
声か。聞き覚え、たしか、寝てる間に話しかけられたよな?それか?「そう、それです。」うわっ!この方心読めるのか。「そうですね、私はこの世界のこととアリナ世界のこと、全ての世界の理を知っています。」なんか意味深なこと言ってるな...
「あの、アリナ世界って?」
「あなたがいた世界の生母神がアリナという名前なのです。生母神とはいわば世界を作った神。全ての理を作る神です。」そんな大層な話、俺が聞いちゃっていいのだろうか。「じゃあこの世界の名前は?」
.........数秒沈黙が続く。「アリサ・トーノ、席を外していただけますか?」やっと口を開いた女神の言葉で、アリサさんは部屋を出ていった。「この世界の生母神の名は...」彼女が名前を言おうとした時、後ろにいた男性が、「女神様、言ってよろしいのですか?」「彼には伝えておいた方がいいわ。この世界の命運は彼にかかっているのだから。」「ですが...」この世界の命運が俺にかかっている?一体どういうことなのか、俺には理解できなかった。「名前を言う前に聞きたいことがあります、アリサ・トーノとはどこで出会ったのですか?」「えっと、女神様に呼ばれて目が覚めて、草原で出会いました。」
「そうか、」
「そうなんですね。」
「あの、それが何か?」
俺が疑問を浮かべていると、女神は重い口を開けて言った。
「この世界の生母神の名は...アリサ・トーノ。」「え、彼女の名前じゃないですか?...あ、同姓同名とか?」
「いえ、先程の彼女は生母神の...生まれ変わりです。」
「え...?」
ということは、「その生母神は1度死んだのですか?」「そうです。」
「神様って、死ぬものなんですか?」
「ある条件を踏めば死にます。」
「その、条件って?」
「人を愛することです。」
人を...愛すること、じゃあ生母神は、「そうです。人を愛したから死にました。」
「今のアリサ・トーノも、人を愛せば死にます。無自覚ではありますが、天使の瞳、悪魔の瞳、そして、神の心臓をもった、他の世界にもいない、天心悪族と我々は呼んでいます。」
そんな重要人物なのか。アリサさんは。
「生母神のことはなんとなく分かりました。それで、俺に救ってほしいことって?」
「アリサ・トーノの人を愛せば死ぬというのから解放してあげてほしいのです。あなたならできます。」
「なんで、俺にならできると?」
「あなたも、同じだからです。」
「同じ?」
一瞬、聞いていいのかと、後悔しないかと、そんな事を思った。
「あなたも、天心悪族だからです。」