2話
「こ、ここは一体...?」見渡すばかりの草原に俺は驚きを隠せなかった。俺、家で寝てたはず...あ、でも夢で声が聞こえたような?
「どうされましたか?」呆気にとられていると声をかけられた。間違いない。日本語だ。恐る恐る後ろを振り返ると、髪はピンク色、瞳もピンク色、犬を連れた女性が立っていた。正直、とても可愛いと柄にもなく思ってしまった。「あの、ここはどこですか?」俺がそう聞くとその女性は不思議そうな顔をして、「えっと、ここはエミルア王国です。」「あの、大丈夫ですか?何かありましたか?」エミルア...聞いた事のない国名だ。自分でいうのもなんだが、俺はそれなりに地球の国名は知っていた。そんな俺でも聞いたことがなかった。「まさか、本当に...?」「そうだ、ここはエミルア王国よ、青年よ。」どこからか声がした。周りを見渡すが声の主は見当たらない。「ご主人様、あの子だよ!」またさっきとは違う声が聞こえた。???俺が疑問に思っていると、女性はエミに対して、「あなた、お名前は?」「あ、この子は、」「私、エミだよ!ご主人様がつけてくれたの!」
!?
俺はエミが喋ったとは思えなかった。だが、「やっとご主人様とお話しできる!嬉しいにゃ!」
これは、認めざるを得ないかもしれない。
「エミ、お前喋れたのか?」「にゃ!ここだと人の言葉が話せるにゃ!」「まじか、」「じゃあさっきの声はもしかして?」犬の方を見ると、「そう、私だ。」なんということだ。俺は動物の言葉が分かるようになったのか。「ご主人様、私のこともあの青年に紹介してくれ。」「あ、そうだったわね、名前を言うのが遅くなってごめんなさい。私はアリサ・トーノ。
そしてこの子はニナリ。よろしくお願いします。」「あ、えっと、俺は...」普通に日本人の名前を言ったら反応が怖いな...すると夢の中と同じ声が頭に響いた。「あなたのここでの名はルーカ・ブラックです。」「あなたは、一体?」聞いたが返事は聞こえなかった。「お、俺は、ルーカ・ブラック、こっちは飼い猫のエミ、スコティッシュフォールドだ。」あ、スコティッシュフォールドって分かるかな?「あらまぁ!通りで!」え?アリサさんは犬を指して「この子は秋田犬なんです。なんか雰囲気が似てるなって思ってたんです。」あ、秋田犬!?それって日本の犬種じゃないか、どういうことなんだ?「あの、ところで、ルーカさんは主人の証を首にかけておられないようですが?」「えっと、そんなのがあるんですか?俺全然知らなくて、この世界にもさっき来たところで、」あ、言っちゃった。と思ったら、「あら、そんなの全然簡単にとれますのよ?あそこのお城へ行けば。それにあなたはきっと、この世界の女神に呼ばれて来たのですよ。」