そして追放と初めてのダンジョン
|《これと次の途中までで鬱展開は終わりなのでご安心ください!》
あれから僕はいつもの日常に戻った。
掃除をして、剣の素振りをして、魔法の練習をしての繰り返し。
たまに兄さんたちがからかってくるが耳に入れてない。
もう姉さん達には会えないと分かっている。
だから唯一所在が分かるマナ姉さんにも手紙は送らない。
あんなことしておいて送って欲しいなんて外道すぎる。
貯金も姉さん達のおかげで4、5年は暮らせる。
感謝しかないのに僕は…その考えを剣を振って忘れる。
そこからごくごく平凡な2年間が過ぎた。
今日はようやく魔法適性検査の日だ。
ここで僕の今後の人生が変わる。しっかり魔法の練度も限界に近いところまで高めた。
お父様やザバス様、兄さんたちが見守る中、
「女神様、この者に魔法を授けたまへ!」
老神父が大きな声で叫ぶ。すると、光の粉が降り注ぐがすぐに消えた。
「な!」
「神父様、カズヤの適性は?」
「ない」
え…?
「この者には適性がないぞ…」
頭が真っ白になった。
ザバス様が笑っている。
適性4種は確実にあると思ったけどこうなったら僕に残された道は1つしかない。
「カズヤ、お前をイースト家から追放する」
「畏まりました」
追放だ。
貴族でもごくごく稀に適性なしが出ることがあると本にあった。それによると、その人は家を追放される。
「早く、片付けて出ていきなさい」
僕は立ち去ろうとすると、
「あいつ、どっかで野垂れ死にじゃね?」
「どうせ、あの女達に頼るんじゃねーの?」
と笑われる。
サバス様の横を通った時、扇子で口元を隠していたが明らかに僕を嘲笑っていた。
僕は拳を力強く握りしめた。
「とりあえず迷宮都市に行こうかな」
僕は冒険者をやることにした。
生活していくにはお金が必要だし、何か作って売るのもありだと考えたが商人に会える機会は平民になった今ほぼない。
迷宮都市アストレルアは大きなダンジョンがある。
現在1~30層まで開拓されていて、それ以降の深淵層と呼ばれる未開拓の地はSランク以上の冒険者しかもパーティーでしか許可されない。
「でも最近Zランクと呼ばれる伝説級の冒険者が迷宮都市に来ていてな、その人はソロで潜ることも許可されているらしいんだ。まぁ見たことないから分かんねぇけど」と
隣に乗っているおっさんが教えてくれた。
漫画読んでても普通Sランクまでしかなかったぞ…Zランクってどんだけ強いのかな?
それから3日間くらい馬車に揺られアストレルアに着いた。
「まぁお前みたいなやつは1~3層のF級がいいと思うぞ。冒険者は死んだら元も子もないからな」
と背中をバシバシ叩いてくる。
「そうですね。そうします。」
僕は馬車に降りたところでおっさんに一礼して冒険者ギルドに向かった。
ギルドは多くの人がいた。掲示板もめちゃくちゃ大きい。異世界っていう感じがここでしてきた。
受付で登録をすぐ終わらせ、また掲示板を眺める。
「これにしようかな」
ダンジョン内に生息する薬草採取の依頼を手に取ると
「よぉ、ガキ」
肩を叩いてきたのは3人のお兄さん達だ。
口は悪いけど…
「その依頼受けるなら俺たちと一緒に来ないか?」
「俺達は初心者の手助けをしているんだ」
「そうなんですね。なら、よろしくお願いします」
一時的であれ最初はパーティーで行きたいと思っていたため安心した。