ルーティーン
私は夢の中で空を飛んでいた
自分が鳥にでもなったかのように
風を切って
とても気持ちいい
あの山の頂上の木の上に止まって
叫んでみようかな
『カァァァァーーー』
「ぁぁぁぁぁーーー!!」
木の枝が折れて落ち………
という所で目が覚めると
「あ?」
ベッドから落ちていた
頭を下にして
「大丈夫ーー!?」
下からお母さんの声が聞こえた
「大丈夫ーー」
とりあえず返事だけして
アラームを止めてから階段を降りた
食卓にはご飯、味噌汁、焼き魚が並んでいる
うちの朝ご飯の定番メニューで
今日は塩鮭のようだ
「すごい音したけど大丈夫だった?」
「うん。大丈夫、と思う。変な夢見てベッドから落ちたみたい」
「変な夢はいつも見てるじゃない?ベッドから落ちるのは何年ぶりかしらね?」
お母さんはもう子どもじゃないんだからと言うように苦笑いをしている
私だって落ちたくて落ちたわけじゃないんだってば
夢がそうさせた
なんて言えるわけもない
「今日は27度か。雨は降らなそうだね」
朝ご飯の間、20分程だけ見る朝のニュース番組に天気予報を教えてもらって少し元気をもらう
朝早くから元気でメイクもバッチリで可愛い
とても尊敬する
アナウンサーさんはすごいなぁ・・・
「ご馳走様でした!」
と言いながら食器をキッチンに運ぶ
洗面台に寄って歯磨きをして顔を洗って化粧水をして
それから自室に戻って着ていく服を考える
さっき見た天気予報の気温と雨予報が服の決め手だ
今日は白のフリル袖ブラウスに、7分丈の黒のスキニーと黒のパンプスでいいか
あ、電車に乗るから、一応カーディガンをカバンに入れて…と
電車やバス、スーパーや飲食店の冷房は真下は特に結構寒い
無くてもいい時にあっても荷物になるが
欲しい時にないと困る
鏡台の椅子に座ってメイクをする
目薬を指して1分待つ間にファンデーションをして
目を開けたら眉毛とアイシャドウとアイラインとビューラーとマスカラで
唇はリップクリームを塗った後に口紅
今日はオレンジっぽい色で明るめにしようかな
全身鏡で服とメイクと軽く確認したら
荷物を確認して
もう一度、洗面台の前に行って髪型を…
今日は、バレッタでいいか!
暑いし、首元開けたいし
髪の毛を一つにまとめて持ち上げてからねじってバレッタで止めた
リビングに行ってお母さんに声をかける
「ねぇねぇ、変じゃない?」
「うん。可愛いんじゃない?」
「ありがとう!行ってきまーす!」
いくつになっても可愛いと言われるのは嬉しい
変じゃない?って毎回聞きすぎてその部分はもう適当だけど、変かどうかちゃんと教えてくれるのは親が友達くらいだろう…
駅まで15分くらい歩いて
電車に10分くらい揺られる
そこから5分くらい歩くと私の職場がある
信号待ちしながら空を見上げる
今朝の8時はもう良い天気だ
そのままドローンになったように地上を見下ろしていく
ビルの地平線を見るように
このまま飛んで職場に行けたら良いのに
そんな時にスマホのアラームが鳴って
私は目を覚ました