沈霊唄賛 4
「よしクソジジィ話ってなんだ?」
20分後、元通りになった捜査第零課の片隅にある座敷(畳を数枚並べただけ)で劉玄に向かいあい雪奈が煎れたお茶を飲みながら部外者とは思えないほど態度のでかい亨が口を開いた。
「仕事だ」
「断る」
劉玄の言葉に即答した亨がちゃぶ台に湯飲みを置く。「先の短い老人の話ぐらい聞いたらどうだ」
「聞いてやるさ。だがな俺は自分に得がないと動かないのさ」
「大丈夫じゃ。『捜査第零課』名義できっかり20はやるわい」
「相変わらずねぇ」
その光景をみながら捜査第零課の一同は煎餅を食べていた。
「亨さんも大変ですよね」「まぁ課長を前にして全く動じないのは流石『笠羽の血』とでも言うか…」
一同は思った事を口々にだすが少年だけ黙々と煎餅を食べていた。
「皆さんお茶がはいりました」
雪奈が盆に湯飲みを4つ載せて奥の給湯室から出てきた。
「亨さんは素直じゃありませんね」
「アイツのことは小学校の時から知ってるけどあん時からず〜っと変わっていないわよ」
劉玄と亨のやりとりを微笑ましく見る雪奈に樟葉が呆れながら言う。
「はっ。たったそんだけかよ。最近の親バカの方がよっぽど裕福なんだな」
「はん、何を言っておる。20は前金じゃ」
「前金は受け取らない主義だ」
「よくそんなんで成り立っとるな」
「『依頼は必ず達成』が俺の信念だからな」
「てことは儂の依頼は達成出来ないってことか」
「…あぁ?」
その一言で亨から凄まじい殺気が発せられた。
「そうかそうか。所詮『出来損ない』か。うん、やはり儂らだけでどうにかしようか。とゆう訳じゃ。さっさと茶を飲んで帰れ」
バリンッ
劉玄の台詞が終わった直後、亨が湯飲みを握り潰した。「テメェ…」
殺気が部屋中に満たされ大して免疫のない増田の体が無意識に震え始める。馴れている樟葉達ですら痛いほど感じて身動きがとれない中で少年と劉玄だけが悠々とお茶をすすっている。湯飲みを片手に持ち、もう片方の手で『あっちいけ』と言わんばかりに振りながらとどめの一言をいった。
「どうした?飲み終わったのなら帰れ帰れ」
殺気の濃度が更に増し、空を震わし湯飲みの中のお茶に波を作る。
「…やってやろうじゃねぇか」
「ハッハッハッ!この程度で乗せられるなぞ若い証拠じゃな!」
「チクショー…」
それから数分後には冷静になって座卓にうつ伏せる亨とそれを見て大笑いしながら煎餅を食う劉玄がいた。しかし先程までの殺気はなく後悔の念が亨の回りを漂っていた。
「それで内容じゃが…」
「おい樟葉。久しぶりに組み手しようぜ」
「今日こそ勝ってやるわ」劉玄が話を始めようとした直後に亨は樟葉を組み手に誘い速攻で逃げ出した。
「…本当にあんなんで探偵業は成り立っとるのか?」
「…なんとか」
劉玄の独り言に雪奈が苦笑しながら律儀に返答した。「私から伝えときます」
「すまんなぁ。小僧、樟葉にも伝えといてくれんか?」
「しょうがねぇなぁ」
渋々と言った




