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生骸屍肉  作者: 呉武鈴
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沈霊唄賛 2

劉玄の話が終わりそれぞれが準備に取り掛かるが増田だけがコンビニに昼飯を買いに行った。その内劉玄が内電によって署長に呼び出され渋々出ていった。さらに数分後に劉玄が出ていったことにより静かになった部署に増田が戻ってきて昼飯も食べずに眠り始めた。

「何でこいつ寝てんのよ。ほれ、起きろ〜」

そんなことを言いながら頬をつつき始めるが起きる気配はない。

「疲れてんだからやめとけ」

「あによ〜!何でかばうのよ!?」

「お前と違ってここ最近調べモンばっかしてろくに寝てねぇんだから」

「んなもん知るか!」

「知っとけ」

「まぁまぁ〜樟葉ちゃん。そうだ〜久しぶりに組み手しない〜?」

「いいわ!」

「お手柔らかにね〜」

笑いながら(樟葉は肉食獣のように、ミクは心が全く読めない微笑みで)二人は隣にある道場に行った。

「やっとうるさいのが消えてくれましたね」

二人が出て行った直後に増田は上半身を起こし、ぼやいた。

「なんだ、狸寝入りか」

「気づいてたくせに」

「いんや気づかんかった」「白々しいですね」

増田にとって日比野は先日行方が分からなくなった鳥居和宏を除けば捜査第零課の中で一番得体の知れない人間であり、一番信用していない人間であった。

「どうした俺の顔をジロジロ見て。悪いが俺にはそうゆう趣味はないぞ」

「俺にもないですよ」

そう言うと増田は買ってきたパンの封を開けながらパソコンを起動し仕事に戻った。日比野も邪魔にならないように自分の机に戻り今日何本目か分からない缶コーヒーを飲み始めた。


「でりゃぁぁぁぁぁ!!」

「危ない危ない」

一方隣の部屋では二人とも隅に畳んである胴着に着替えず普段着のまま組み手をしていた。樟葉が一方的に攻めたてるがミクは全く表情を崩さずに全て避ける、もしくは受け流していた。

「うりゃっ!」

ようやくミクの腕を掴み自分に引き寄せそのまま一本背負いの要領で投げ飛ばす。

「うんしょ」

しかしミクは空中で体勢を整え背中から落ちずにしっかり両足で着地した。

「もらったっ!」

「…え!?」

しかし着地されることを予想してたのか樟葉は投げた勢いを殺さずに突っ込む。着地した瞬間なので動くのが遅れたミクは避けられずに樟葉の体当たりをくらいそのままマウントポジションをとられた。樟葉が顔を殴るために腕を振り上げ、顔を殴られないように両手で守るが樟葉に動きはない。やがて樟葉の顔から汗がミクの腕に垂れる。

「…ふぅ」

「…はぁ」

それによって二人の緊張は解けて同時に一息つく。ゆっくりと樟葉がマウントポジションを解き、ミクが立ち上がる。

「まさかあのまま突っ込んでくるとは思わなかったよ〜」

「先読みと虚をついてこそ女性の闘い方よ」

「その割には直線的な攻撃が多いよね〜」

「そ、その後の攻撃を読ませないためよ」

「結構遅いし〜」

「うぐっ!」

「分かりやすいよね〜」

「ミクさんその言葉はグサッとくるよ」

「でも〜事実だし〜」

「軽くへこむよ…」


「…暇だな」

その頃黒一色の帽子を被った少年は警察署の屋上で日向ぼっこをしていた。手には炒った豆の入った袋が、すぐ近くに蓋の開けられていない500mlペットボトルが置かれている。

「つまんねぇなぁ」

「チュンチュン」

「…うるせぇなぁ」

周りに数羽の雀が屋上に撒かれた炒った豆につられてやってきた。少年が豆を食べながらそれを横目で見ると雀達は一瞬痙攣した後に倒れて動かなくなる。

「…持って帰って焼いて食うか」


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