双方思奸 7
急に鳴り出した携帯のアラームに偽装した警戒音に反応した樟葉はララに「非常事態よ」と言い、手を引いて歩きだす。人目の多い場所にいるべきだと考えた樟葉は予定を変更してデパートで合流するために携帯で龍玄に目的地を伝えた。
「絶対に手を離さないでね」
「…大丈夫よ」
「…私にその情報を教えてどうするの?」
「協力してほしい」
ミクは悩んでいた。
この出来事の真相を知って解決に一番近道なのは目の前にいる彼女達に協力することだと理解していた。しかしこれは仲間を、捜査零課の皆を騙すことになる。「…人間、私は『もんぶらん』をご馳走するために拉致をした」
「…そうね、美味しかったわ」
「時間に余裕があれば次はお前のお勧めを食べてみたい」
「時間があったらね。じゃあ帰らせてもらうわよ」
「市外には出てないからすぐに分かると思う」
劉玄は樟葉からの連絡を受けて仕度を整えていた。
「何かあったら連絡をしろ」
「分かってます、始末書の用意もしときますね」
出ていこうとしていた劉玄はその言葉に立ち止まり振り向く。
「…お前は儂を何だと思っておるんじゃ?」
「申し訳ありません。始末書の用意は自分でお願いしますね」
「…後で覚えておけよ」