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生骸屍肉  作者: 呉武鈴
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双方思奸 6

亨は公園のベンチに座って携帯電話を耳に当てて話していた。

『少し予定が狂ったけど第一段階終了、亨の言う通りに樟葉が移動開始したよ』

「よし、今から俺も動く。くれぐれも無理はするなよ」

『了解、でも私達を頼ってもいいからね』

会話が終わり、ゆっくりと携帯電話をしまうと一度伸びをしてから辺りを見渡す。辺りに誰もいないことを確認すると

「悪役は悪役らしく振る舞いますか」

そう呟いて、公園を後にした。



忍は急いで着替えて亨に前もって指定されていた場所に向かっていた。

「全く、人使いが荒いよね」

さっきのことも自分じゃなくて楓を使えば良かったのではないかと思うがそれだと杏の狙撃の邪魔になるかもしれないという考えに至り、かといって葵に任せると何をするか分からないからあの状況なら自分が適任という結論になり、あの指示は的確だったとそう思うことにした。

そして樟葉と明確な交流があるのは自分だけだからと自分を納得させて目的地へ急ぐ。



クロは事務所で靖子と一緒にテレビを見ていた。

「……」

二人とも無言でテレビを見ているがクロは『靖子は退屈していないか』と考えていた。契約してから約三週間、靖子の性格を理解したつもりでいる。しかしそれは他人に遠慮しているだけで仮面かもしれない。『自分は異質』と靖子は考えているのではないか。自分は勿論、亨達もそんなこと気にしないだろう。だから

「靖子、他の番組が見たかったら教えてくれ」

「…?」

突然のことに不思議がっているのか靖子がクロを見て首を傾げる。

「遠慮なんてする必要はないのだぞ。私は靖子が見たい番組が見たいのだからな」

クロの言葉に頷き、そして少し間をあけて横に振った。

「この番組でいいのか?」

笑顔で頷く靖子にクロは満足そうに頷き返すと立ち上がり、応接間に入る。そこには黒い何かで簀巻きにされいる根岸がいた。

「気分はどうだ、人間?」

「…今すぐ解放してケーキと紅茶を出して、帰してくれれば良くなるわ」

「分かった」

「は?」

唖然とする根岸に即答したクロはすぐに拘束を解き、根岸が事態を飲み込むより早く部屋から出ていこうとする。

「ちょっと…」

「『もんぶらん』と『てぃーぱっく』の紅茶でいいならすぐに出そう」

根岸が何か言う前にクロは冷蔵庫にある亨のモンブランを出すために部屋から出ていった。


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