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生骸屍肉  作者: 呉武鈴
26/29

双方思奸 5

ララの護衛が始まってから二日が経った。その間に特に何も起こることもなく、町中も裏路地を除き、行ったことがないくらいになっていた。

「たとえ今日まで襲撃らしきものが無くても気を抜くなよ」

『そんなの〜分かってるよ〜』

通信機越しにミクと気を引き締める日比野。

この二日間、何もなかったのは気を緩めるためかもしれないと推測して周囲に気を配るが特に何もない。

必ずどちらかが二人の近くにいるようにしており、もう一人は見えない場所に誰かが隠れていないか見るようにしていた。


「そっちはどうだ?」

『……』

「おい?どうした?」

「仕事早いなぁ、まだ三分も経ってないのに」

「っ!?」

ミクからの応答がない。そのことに気をとられた日比野は後ろから誰か来ているのに気づくのが遅れた。

そこには口元を隠して長い黒髪を後ろに纏めた少女が腕組みをしていた。

「まぁ、早く終わったからといって助けに来るわけないよねぇ」

少女が緊張感の全くない声色で独り言を呟いている間に日比野は腕時計に仕込んである発信器のスイッチを押そうとする。

「こら、忍ちゃん!相手から注意をそらしちゃダメでしょ!」

日比野の後ろから声がする。忍と呼ばれた少女に注意しながら振り向くとノースリーブのシャツにジーンズを履き、眼鏡をかけた左のサイドポニーの少女がバットを構えていた。

「いやいや、ちゃんとコードネームで呼んでよ」

「でも忍ちゃんは忍ちゃんよね」

「うん…もういいよ。私もめんどくなった」

「…あんたら、コントなら他の場所でやってくれないか」

あまりの緊張感の無さに呆れながらも二人の動きに注意しながら腕時計を操作して緊急事態であることを本部と樟葉に伝えることに成功し、自身も状況を打開するために動く。

「何にせよ、お前たちには少しの間、眠ってもらうぞ」

「こっちは、か弱い女の子なんですから手加減してくださいね」

「いや、多分無理でしょ」

本気の敵意をぶつけても少女達はは引くことをしない。それどころか構えをとって日比野と相対することを選んだ。

「まぁ、私達だけでやれるならそれでいいんだけど」

忍はそこで言葉を切ると右手を挙げる。何事かと緊張する日比野がすぐに対応できるように腰を低くする。

「それは無理そうだからー手段は選ばないよ」

右手を降り下ろす。直後、日比野は背中に痛みを感じた。

何事かと思うと同時に急激に眠気が襲ってくる。

「くっ…」

気力を振り絞り、どうにか立つことは出来たが動くのはかなり無理がありそうだった。

「いやー、普通なら一発で即効で眠っちゃうんだけどタフだね」

瞼が重い。少女が何か言ってるが意味を理解するのが難しい。気付けばうつ伏せに倒れていたが体が全く動かない。

「ち…くしょ…う…」

どうにか一言だけ出せたが日比野はそこで力尽きてしまった。



「流石は杏ちゃんね」

「適材適所だよね。ところで葵姉さん」

「ん?何かしら?」

「確か葵姉さんは楓姉と待機のはずだよね」

「そうよ。それがどうしたの?」

「楓姉はどうしたのさ?」

「楓ちゃんはお姉ちゃんに酷い事を言ったからお仕置きしました」

「…大丈夫かなぁ」

「大丈夫よ、楓ちゃんは私達より丈夫に造られてるから」

「うん…まぁ、そうだけどさ」


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