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生骸屍肉  作者: 呉武鈴
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児命殺画 1

これは『腐魂咀鬼』の続編です。これから読み始めてもいいですが、興味がある人は『腐魂咀鬼』も読んでみてください。

スナッフムービー(殺害動画)!?」

とあるマンションの一室で妙齢の女性が同僚の男が持ち込んだ話に驚き、勢いで胸ぐらを掴み、前後に揺さぶっていた。

「そんな情報、どっから手に入れたのよ!?」

「とりあえず落ち着け!」

男は女性に落ち着くように言ったが動揺している女性の耳には入っても脳まで達していなかった。

「いいから答えなさい!」

「落ち着け樟葉。そのまま続けたらそいつムチウチになるぞ」

帰宅の言葉も無しに部屋に帰ってきた少年の冷静な指摘に井波樟葉(いなみくすは)は渋々男性の胸ぐらから手を離した。

「すまないな」

「礼を言うな。そんなこと言っている余裕があるならコイツに文句の一つぐらい垂れてろ」

「言えたらとっくに言ってるよ」

室内でも黒一色の帽子を被ったままの少年の皮肉に男は苦笑いをしながら言葉を返す。

「和宏くん、アタシに不平不満があるなら言っていいのよ」

いつの間にか男―島居和宏(とりいかずひろ)の背後に移動していた樟葉は顔だけ笑いながら男の頭を掴んでいた。

「そういえばお前がここに来るなんて珍しいな。何のようだ?」

「実は変なタレコミがあってな」



和宏の話を要約すると『匿名で警察にスナッフムービー(殺人動画)をとっている場所のタレコミがあったが誰一人信じなかったので相談を持ちかけた』との事だ。

「この話、信じるか?」

「う〜ん…」

真面目な顔の和宏に対し、腕を繰んで首を捻り唸っている樟葉はどうも真面目に考えてるように見えない。

「どう思う?」

樟葉に訊くのを諦めたのか和宏は少年の方を見た。

「信じるが…」

未だに帽子を外さずに窓際で日向ぼっこしていた少年は返事をするが歯切れが悪い。

「お前はどうなんだ?」

少年の視線は和弘の方に移った。帽子の下で光る紅い目はまるで値踏みしているようだった。

「信じなきゃそうだ―」

「誰もそんなこと訊いてねぇよ」

和弘の言葉を少年の否定の言葉が遮る。怪訝そうな顔をしている和弘を少年は見据える。

「お前はこのことを前から知ってたんじゃないか?」「……」

和宏は答えない。しかし顔から表情が消えたのが答えだった。

「場所変えるか?」

「…あぁ」


マンションから出て約7分歩いた所にある喫茶店に少年と和弘の姿があった。

「ブラックで」

「俺はチョコサンデー」

「待て!」

「どうした?」

「高いだろ」

「割り勘でどうだ?」

「手持ちはあるのか?」

「無いから樟葉に後で請求してくれ」

「アイツが払うと思うか?」

「愚問だな」

二人の問答は誰にも聞こえてない。やがてそれぞれの前に注文の品が届き、店員が下がったところで和宏が口を開いた。

「どうしてそう思った?」しかし少年は和宏より目の前にあるチョコサンデーに気を取られていて和宏の方には視線を向けもしない。

「何の事だ?」

「とぼけるな!」

怒鳴るがチョコサンデーを崩し始めていた少年のスプーンは止まらない。

「根拠なんてねぇよ」

「は?」

和宏の方を一別すると少年はめんどくさそうに答える。返ってきた言葉に和宏は間抜けな声を上げた。

「カマをかけただけさ」

「…マジか?」

「ああマジだ」

思いがけない答えにうなだれる和宏を見て少年は笑う。

「もう少し上手く隠さねぇとすぐにバレるぜ」

「…忠告ありがとう」

まだ立ち直れないのか和宏は顔を手で覆い隠している。その姿を見て少年の笑いは一段と大きくなった。

「さて、話を戻すか」

「それは俺が言うべき台詞じゃないか?」

「気にすんな」

「そうだな…何から話せばいい?」

「全てを要約して簡単に」

「…聞くのがめんどくさいだけだろ」

「御名答」

「分かったよ」

そのまま冷めて温くなったコーヒーを一口で飲み干すとしみじみと語り始めた。


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