物書きな僕ら5
[それで、ノートにかかれた小説の素案を添削しちゃうんですね?]
ついに、桜の開花はいつになるだろうかと、世間が気にし始めましたね。
桜はつぼみの頃が一番きれいだと思います。
舞い散る花弁のその姿と泣き笑い入り交じる人の群れは僕には賑やかすぎます。
この文章は珍しく時間がかかりました。なぜでしょうかね。
この季節はセンチメンタルになりがちでよろしくないです。
結局のところ、僕たちがやってきたこれは小説の部類になるのでしょうか?
ただの交換日記だったような気がしないでもないです。
あの日うっかり君に見つけられたこと、今では感謝しかありません。桜がつぼみの今感じるこの気持ちを表現するには僕の中の言葉が不足しているのを感じます。勉強は好きではないけれど、知識が思いを表現するのに使えるならばそれはそう悪くない話だと思います。
あぁ、自分でも何をいってるかわからなくなってきました。
一つ、はっきりしているのは、1人で書くよりもずっと楽しかったよってことです。
実花が読んだらどういう反応をするだろうか。ソワソワとでも、受け取ってもらえることを疑いもなく校門で待つ。
「実花!」
あげた手のひらを下ろす。
声は届いていた、目もあった……でも一瞥しただけで逃げるように立ち去る。以降このノートは俺の手元に残ったまま。