物書きな僕ら2
「はい!これっ!」
翌日には実花が手のひらサイズの方眼ノートを持ってきた。
小説交換ノートのルール
1、普段の生活から書き起こすこと
2、400字程度にまとめること
女子っぽい丸文字でかかれたルールをフンフンと読む。
まぁ400字程度ならサクッと書けるか。と飲みかけて思い出す。
「俺まだやるとは言ってないけど?」
「サイは投げられた!」
にんまりと笑って実花が立ち去る。俺とノートを残して。
あいつ絶対、動物のサイをイメージして言い残してったわ。
「……やるか。」
[変な女にノートを見られた]
「落としましたよ?」
鈴を転がすような女性の声がしました。
振りかえれば、僕のネタ帳が開かれた状態で女性との間に鎮座していました。
それを書いたのは昨日の深夜のことです。
「くらぇ!インフェルノガン!!」かっこいい必殺技名を思い付きました。
グリグリと何度もその名前を鉛筆でなぞりました。最高傑作だと思ったので一番目を引くようにしたかったのです。そしてそれが成功したのを確かめて満足して床についたのでした。大成功ですよね。それはもう、少し離れたここからでも十分認識できる程にですから。
「えっとぉ、ありがとうございます」
そう声を出すのが精一杯でした。
女性の役割は終わっているはずです。なぜそこに立ち止まったままなのですか?
「創作されてるんですか?」
……こんな辱しめを受けるなんて前世でどんな悪さをしたんでしょうか、神様。
「私もしてるんですよ。お互いどんな作品か見せ合いませんか?」
半ば自棄で僕は頷いたのでした。