フランスのカテドラル Notre-Dame de Paris en proie aux flammes.
フランスを護る十字の大屋根が焼け落ちた
フランスの肉体
あらゆるフランスの象徴
フランスの裸身
フランスを守るマリアの尖塔は燃え崩れた
私の愛しいフランスよ、目覚めよ
今こそ、神の言われなかった文字を愛の文字で埋めよ
それこそが、神が黙示なされたこと
創造と破壊の間を埋めるのは、神ではない
神が示されたのはアルファとオメガのみ
自由・平等・博愛の矛盾を解決するのは、神ではない
生と死の間隙を、おまえたち自身の熱い言葉で埋めよ
フランスの心臓よ
今こそ、おまえの出番
炎をくぐった心臓の、今こそ連打されてしかるべき時
フランスの魂よ
今こそ、おまえの出番
倒れてもなお不屈の魂を、今こそ示せ、高らかに掲げよ
フランスの心臓よ、フランスの魂よ
建てよ、新しい塔を、おまえたちの精神と美の根源を
人を人として認めぬ言葉ではなく、人が人を愛する言葉で
薔薇の香るカテドラルを再建せよ
まさに今こそ
――本寺の十分なまた実のある理解を得るためには、われわれは現代の狭い冷たい精神から逃れなければならない――
ロダンの言葉抄:ジュディド・クラデル筆録 高村光太郎訳