作戦は裏側から
キルログとは別に、スコアボードという情報源がある。
ゲームに参加しているプレイヤーが、現在どういう戦績を残しているかを確認できる機能だ。
そのスコアボードで、両チーム合わせてトップスコアをひた走るプレイヤーがいた。
それが凛子さんが初めてキルした相手、通称、大佐だ。
「なるほどね。そういうことになってたんだ」
「な、何がそういうことになってるの?」
僕は戦場を駆け抜けながら集めた情報を、後ろを付いてくる凛子さんに話し始める。
「向こうのチームのグループの一つが、こちらのチームを遊撃して防衛ラインをズタズタに引き裂いてるみたいだね。それで優勢だった味方は総崩れを起こしているみたい」
神出鬼没の遊撃隊。
おそらくそれを率いているのが、その手練のプレイヤー、大佐だった。
大佐はゲーム開始時は一匹狼のようにも見えたけど、今は複数のプレイヤーと行動を共にしているようだ。
別のグループに大佐が参加したのか、あるいは大佐の腕前に惚れ込んだプレイヤーが集まっているのかはわからないけど、とにかく厄介な一団が出来ていることには違いなかった。
「あ、あなたも同じようなことをしているじゃない。さっきから立ちふさがる敵を全員倒してきてるじゃない」
僕は目標の制圧ポイントに向かう途中、凛子さんの言う通り敵にすべて撃ち勝ってきていた。
でも、僕は走り続けながら彼女に答える。
「影響力が違うよ。僕たちは比較的安全な場所を選んで進んでいる。それに比べ向こうの一団は、敵陣に踏み入って食い荒らしているんだ。似ているようで全然違うよ」
「……比較的安全って言うけど、もう何人も敵と出会ってると思うんだけどね」
「いやいや、この辺りは味方の勢力圏内みたいなものだよ。僕はそれに入ってきた敵を倒しているだけって感じかな」
そこで、僕は自分の発言が肯定される光景を目にする。
「ほら、向かう先に味方が三人移動しているでしょ。敵陣にいればこんな風に味方とは遭遇出来ないよ」
「むぅ……。なるほど」
「ちょうどいい。あの人たちも僕たちと同じ方向に向かってるし、一時同行させてもらおう。ちょっと集団行動になるけど、凛子さんは社交性も高いし大丈夫だよね?」
「わ、わかったわ。……ホントは二人きりが良かったけど……」
凛子さんは初めてのゲームでのチームプレイに緊張しているのか、言葉の最後に何かを漏らした。
しかし、彼女は常識ある出来た女性だ。わかったと言ってくれた以上、少々緊張していても上手くやってくれるはずだよね。
僕はそう思って、なおも走り続け三人の味方に近付く。
それは別に大佐のグループを意識したわけではなく、同じ目的地だから避ける必要はないよね程度の軽い気持ちだったんだけど……。
僕はついつい忘れてしまっていた。
僕が大佐と最初に出会ったのも、激戦地から外れた比較的安全な場所だったということに。
最初はタタタンという乾いた音から始まった。
すぐに前方を進む三人組が、臨戦態勢に入る姿が見て取れる。
「敵が居たみたいだね。凛子さんは銃を構えて僕についてきて」
「しゅ、手榴弾は投げなくてもいいの?」
「まだ状況がわからない。温存で」
「は、はい」
僕はこの時、凛子さんに注意を促すようなことを言ってはいたけど、実際にはそれほど危機感を持っていなかった。
味方は三人いるし、何よりここは味方の勢力圏内だったし。
しかし、状況がおかしいと思ったのは次の瞬間だった。
味方三人が一斉に銃撃を始めたのはわかったけど、銃声がそれ以上に複数聞こえてきたんだ。
聞き慣れたズダンというショットガンの音も聞こえてくる。
無論僕は撃っていないし、味方三人もショットガンを装備しているようには見えなかった。
「敵が複数いるみたい。まだ誰もやられてないから、距離は遠い模様。となると――」
発言の途中で、一人の味方プレイヤーが、やや上を向けて銃を発射し始めた。
敵が空を飛んでいないかぎり、到底当たらないような上を狙った射撃。
しかし、僕はそれを見て、自分の考えが正しかったことを確信する。
プレイヤーが撃ち落とそうと躍起になっていたのは、敵が撃ち出したグレネードだった。
直後、ドンドンという立て続けの爆発音とともに、味方プレイヤーの二人がやられてしまう。
味方が撃ち落とそうとしたグレネードは、だがしかし一発も撃ち落とすことが出来なかったみたいだ。
複数発撃ち込まれたみたいだし、飛翔する小さい的を当てるのは難しい。
「まいったな。人間誰しも、自分には不運は起こらないって考えてるっていう言葉を思い出したよ」
「ど、どういうこと? このまま進んでも構わないの?」
「今から僕が戦う相手、例の味方を食い荒らしている遊撃隊みたいだよ」
「えええ!?」
神出鬼没ということは分析できていたけど、それがまさか自分の身に起こるとは思っていなかった僕。
いや、僕はその時まだ、相手はただの敵集団かもという考えを捨てきれていなかった。
だがその瞬間、僕の目の前で最後の味方プレイヤーがやられてしまう。
僕は再び歯噛みした。
その時キルログに表示された名前は、紛れもなくあの大佐のプレイヤーネームだった。
「隠れよう」
「えっ?」
「急いで。横の建物」
「は、はい!」
凛子さんは僕の突然の台詞に、ひどく驚いた様子だった。
無理もない。僕が敵を目の前にしてネガティブな発言をしたのは、これが初めてだったから。
だけど、やはり凛子さんは優秀だった。
彼女は言われた通り、すぐさま近くの建物へと走り込む。
僕は周囲を窺いながら、彼女の後を追ってこっそりと逃げ込んだ。
「さーて、どうするかなー。確認できているだけでも敵が五人いたね。ちょっと真正面から行くのは厳しいね」
「か、確認できたの? 結構遠いんじゃなかったの?」
「音だよ。最初から最後まで銃を撃ち続けた人、ショットガンを撃っていた人、グレネードランチャーを撃った人が二人、そして最後に味方を撃った人で、計五人は確認できた」
「……すごいわね」
最初から撃ち続けていた人と、大佐の銃が違っていたのが幸いした。
大佐が使っている銃は北の国の有名な銃だから、聞き分けられたんだよね。
「これが最低限絶対にいる人数だね。実際にはもっと多い可能性が高い」
「ど、どうするの? 隠れてやり過ごして、遠くに逃げる?」
実際のところ、彼女のそのアイディアは悪くなかった。
試合には負けてしまう可能性も高くなるけど、適材適所という言葉もある。
凛子さんをトッププレイヤーにぶつけるのは上策とは言えないし、僕たちはここから逃げたとしても、逃げた先で遊ぶわけではないしね。
そこで僕は、凛子さんに笑顔で声をかける。
「それもいいかもしれないけど、どうせならスリルある行動も取ってみようか? どうかな?」
彼女は一瞬驚いたみたいだけど、すぐに力強く言ってきた。
「ええ、もちろん。私は成果を挙げられないかもしれないけど、あなたは一矢報いることが出来そうよね」
どうやら彼女は玉砕覚悟の突撃をすると思っちゃったみたい。
僕は改めて笑うと、思いついたばかりの作戦名を彼女に告げたんだ。
「じゃあ作戦名を告げるよ」
「はい!」
「作戦名は名付けて、『敵の遊撃隊が悪さをしないかこっそりと監視しよう大作戦』です」
「……は?」
凛子さんが盛大に訝しげな一言を放つ。
要は僕は、敵遊撃隊をストーキングしようと思ったんだね。
◇
凛子さんはしばらくの間、この地味なスニーキングミッションに戸惑っていたようだった。
しかし僕が説明を重ねていくと、やがて感心したように口を開いたんだ。
「あなたが頭がいいことは知ってたけど、毎度毎度よくそんなに思いつくわね」
僕が今回目を付けたのは、大佐のその行動パターンだった。
重要な拠点を取っても防衛せず次の目的地に攻め入るその好戦性は、後ろを一々確認しているようなプレイスタイルには見えない。
その他にも色々な理由があるけど、簡単に言うと、大佐率いるグループなら後を付けやすいと思ったんだよね。
「しかも作戦を立てるだけじゃなくて、それを実際に実行してるし」
大佐たちの遊撃隊が悪さをしようとしたら……、つまり味方に攻撃を加えようとしたら、僕たちが介入するこの作戦。
介入する場合は後ろからの攻撃になるから、大佐の遊撃隊は味方と僕たちで挟み撃ちにされちゃうって寸法なんだね。
「相手に気付かれずに後を付けるのって、言うほど簡単じゃないでしょ? だってゲームの試合中だよね? 街中で油断している一般人を尾行するのとはわけが違うでしょ」
僕は周囲を確認しつつ、凛子さんに返事をする。
「それが、やっぱり読み通り後ろの警戒はおざなりだね。今のところ労せず後ろを付いて回ってるよ。先頭を行く人がガンガン進んでるからかな。最後尾の人は後ろを確認するより、置いていかれまいと必死になってる感じだね」
「……あの人たちも、後ろにこんな化け物が張り付いているなんて、思いもよらないでしょうね」
凛子さんが呆れたようにそう言った。
言い方はあれだったけど、それって僕を褒めてくれたんだよね?
「っと、凛子さん、お喋りはおしまい。状況が動きそうだよ」
「ど、どうなるの? こっちに勘付かれた?」
「いやそれが、後をずっと付けてた甲斐があったみたいだ。大佐たちの遊撃隊の横っ面に、偶然味方が鉢合いそうだよ」
「あら」
大佐たちの遊撃隊が進んでいる横合いから、味方グループが進撃してきていた。
この調子だと味方が先に大佐たちのグループを見つけ、先制攻撃を加える可能性が高い。
「大佐の遊撃隊は、目視したところ八人で間違いなさそうだった。味方は五名。僕と凛子さんで七名。数の上ではこちらが不利だけど、状況的にはこちらが圧倒的に優勢だ。これは勝てそうだね」
「普通だとそういうのって、フラグって言うんでしょ? でも、あなたが言うと安心感しかないわね」
凛子さんも僕の説明を受け気が楽になったのか、笑いながらそう答えてきた。
僕も笑い、そして気を引き締めた。
くだらないミスでこの凛子さんの笑顔を失わないためにも、最後までしっかり頑張らないとね。
「さあ、そろそろ始まると思うよ。凛子さん、手榴弾の準備」
「は、はい。……温存しなくていいの?」
「うん。今回は相手の位置を僕がバッチリ調べてるからね。この壁の向こうに王冠のマークが付いた看板が見えるでしょ? その看板の向かって左側に手榴弾を落としたいんだ。出来るかな?」
「……看板から少し離すのね?」
「そう。一、二メートルくらい」
「おっけー。今から狙うわ」
そして、凛子さんの発言が終るくらいに、僕たちの耳は銃声を拾う。
遊撃隊と味方の、交戦の開始だった。
「投げて!」
「はい!」
僕たちは完全に不意を突いて、敵遊撃隊に手榴弾を投げ入れる。
それは凛子さんの連続キルの記録が、また伸びた瞬間だった。
ドン。
爆発音と共に、キルログに凛子さんの名前と倒された敵プレイヤーの名前が表示される。
「(大佐が巻き込まれたら嬉しかったけど、残念ながらまだ健在みたいだね)」
凛子さんが倒したのは二名。大佐は倒せなかったけど、十分な戦果だった。
これでこちらの人数は七名。向こうは六名。一気に数的にも優位に立った。
「ここでうずくまって待機。僕がやられても動かないでね」
「う、うん。ちゃんと戻ってきてね?」
「任せて。あ、その前に、はい、新しい手榴弾」
僕は自分の分の手榴弾を、凛子さんに手渡す。
「あ、ありがとう。投げる準備しておくね」
「ダメ。今は自分の身の安全を確保しておいてね」
「……わかった」
そうして僕は、敢えて少し別の場所に移動してから戦闘が起こっている区画に身を乗り出した。
これは凛子さんが隠れている場所を悟られないようにするためと、横合いから味方が攻撃したので完全に後ろを取るための位置調整だった。
「(大佐っぽいプレイヤーは……、いないな。どこかに移動したのか、六人いるはずが四人しか見えないな。そして、思惑通りショットガンのプレイヤーが奮起して乱射してる)」
僕は独り言をつぶやきながら、何も攻撃せずに後ろから敵に近寄る。
幸いまだ僕に気付かれてはいない。ほぼベストな展開だった。
ズダン。
僕の最初の一発は、僕と同じショットガンを持ったプレイヤーへの一撃だった。
敵の遊撃隊は近くで仲間が倒されたというのに気が付かない。
だって倒された音は、今まで鳴っていたショットガンの発射音と同じ音、ほぼ同じ位置から聞こえたものだったから。
僕はその瞬間、その敵遊撃隊のショットガンのプレイヤーと入れ替わったんだ。
そこから先は、あっという間の出来事だった。
ズダン。
隣りにいたプレイヤーはいきなり味方に撃たれたとしか思えなかったかもしれない。
こちらを振り向くことなく、その場に倒れる。
ズダン。
その奥に居たプレイヤーは、グレネードランチャーを撃ち出した瞬間に僕に撃たれた。
そのプレイヤーも僕が入り込んでいたことには、最後まで気が付かなかったと思う。
ズダン。
そして最後の一人は、異変を感じたのかこちらを振り向き、僕を視認した瞬間に撃たれた。
僕のことをどこかに連絡するような時間は、与えなかった。
こうして僕は、見える範囲の敵プレイヤーをすべて排除に成功する。
しかし僕が倒す前に撃ち出されたグレネードが、こちらの味方を倒してしまった。
味方は五名、大佐は二名。
それでもまだ圧倒的優位に立っていたのだが……。
その時僕の身に、危惧していたことが起こる。
ポン、という発射音とともに、黒い影がこちらに高速で飛翔してくるのが見えた。
味方のグレネードランチャーだった。
僕が敵陣に入り込んだことを知らない味方が、敵に向けてぶっ放したグレネードだった。
敵を銃で挟撃する場合、この同士討ちが一番危険だ。
ましてや僕は相手の味方に知らせず、敵グループの中に潜り込んでいる。
撃たれても致し方ない状況だった。
「(でも、予め警戒してましたよ、っと)」
僕はグレネードランチャーの発射音が聞こえた瞬間、水の中に飛び込むように物陰へと入り込んでいた。
これなら少々のダメージはもらっても、やられることはないだろう。
そう、思った瞬間だった。
タタタン、ドン。
大佐の銃の発砲音が聞こえ、グレネードが空中で爆発する。
スコアトップの大佐。その腕前は伊達ではなかった。
「(飛んでくるグレネードを撃ち落としたのか……。でも、もう味方が全滅していることくらいわかりそうなのに……何故?)」
僕は違和感を覚える。
しかし、じっくりと考える暇はなかった。
その時、近くの味方の反応が一つ消える。
キルログでは見たことのない名前。おそらく大佐と一緒にどこかへ移動した遊撃隊の一人だろう。
これで味方四名、遊撃隊は二名。
その瞬間、再び味方の反応が一つ消える。
キルログには大佐の文字。グレネードランチャーを撃った味方を、大佐が倒しちゃったみたいだね。
味方三名、遊撃隊二名。
僕は急いで物陰から飛び出て、敵の残党を探し始めた。
大佐の位置は銃声でだいたいわかったけど、もう一人の敵プレイヤーがわからない。
おそらく、サイレンサーを付けた武器で攻撃しているのだろう。
しかし、状況は目まぐるしく変化していく。
味方の一人が、大佐ではない残党のプレイヤーを倒したのだ。
そのキルログに僕が喜んだのも一瞬のことだった。すぐさまその味方が、大佐によって倒されてしまう。
残ったのは、僕と凛子さん、そして大佐の三人だけだった。
「(これはこれは。ドキドキするような展開になったなあ)」
僕はそうつぶやいて、だけど全然落ち着いて歩き始める。
すでに倒された味方の位置と銃声で、僕は大佐の居場所を特定していた。
「凛子さん、聞こえる?」
「う、うん。聞こえるわ」
僕は少し考え、そして明るい声で告げた。
「僕に加勢してくれる?」
返事は一瞬後のことだった。
「も、もちろん! 任せて! 何だってするわ!」
僕は笑って凛子さんに指示を告げる。
その内容はいつも彼女にお願いしている内容と大差ないものだった。
一人になった大佐は、逃走を始めていた。
しかしおそらくそれは、敵から逃げるという意味合いではなく、時間稼ぎをして態勢を立て直すという意味合いが強かったように思う。
だけど当然、僕はおめおめと逃がすつもりはなかった。
同時に彼が使うであろう逃走経路を予想して、そこに先回りしていた。
そこは一本の大通り。
大佐はキルログから僕の武器を推測して、見通しの良い場所を選んで逃げていた。
一般的なショットガンの弱点は、距離が離れると途端に役に立たなくなるところだ。
僕の持つショットガンも例外ではない。大佐はそれに気付いていて、十分な距離が取れる開けた場所を選んで逃げていたんだね。
そんな大佐の近くに、手榴弾が着弾する。
ドン。
その音で大佐は立ち止まり、周囲を窺う。
そうして再び、その大佐めがけて手榴弾が投げ入れられる。
上手なプレイヤーはキルログを確認する。
大佐は僕たちが不意打ちで手榴弾を投げ入れたときに、キルログからそれが凛子さんの投げた手榴弾だったと気付いただろう。
僕はだから、その後の大佐はグレネードの飛翔に敏感になっていたのではないかと考えた。
自分を倒したプレイヤーが、他にも同じように手榴弾で暴れまわっている。それを防ぎたいがために、グレネードランチャーにも反応したのではないだろうか。
果たして。
大佐めがけて投げ入れられた手榴弾に、大佐は即座に反応し――、そして勝敗は決した。
大佐が手榴弾に射撃を開始した瞬間、僕は立ち上がる。
大佐はギョッとして僕を見たことだろう。僕の手にはすでに奥の手が握られており、それがまっすぐ自分に向けられていたのだから。
マグナム弾を撃ち出す、大型拳銃。僕はサブウェポンとして、この銃を選んでいた。
扱いは難しいけど、拳銃にしてはかなりの命中精度と有効射程を持つ銃。
僕はそれを、奥の手として準備していたんだね。
「まあ二対一だし、僕たちが勝って当然だよね」
僕はそうつぶやくと、トリガーを引いた。
ズドン、ズドン、という凄まじい音が市街地に鳴り響き、とうとう大佐は地に伏した。
「さて、最後の一発かな」
しかし、本当の勝負はこれからだった。
大佐がやられる間際に撃ち返した凛子さんの手榴弾、それがこちらに向けて落下してきているのが目に入ったのだ。
「そ、空!」
凛子さんの悲鳴のような声が聞こえる。
でも、僕は落ち着いて息を止めると、何の気負いもなしに天に向けて銃を構え手榴弾を射撃した。
僕は一発で手榴弾を撃ち抜き、撃たれた手榴弾は再び宙を舞い、そのまま空中で爆発を起こした。




