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先輩はアンドロイド  作者: BOWA
2/2

1話

深夜2時。


「おつかれさまでしたぁー」


最後の業務である掃除を終わらせて、バーのオーナーに挨拶したのちに僕は帰路についた。

ゲイバーで働いている理由は言わずもがな、僕がゲイだからなのだけれど。普段は隠している同性愛というものをオープンにしても何も言われないし、共感を得てくれるお客様もいる。まぁ、たまに茶化しに来るお客様もいるのだが、そういうお客様は大抵の場合オーナーにつまみ出されている。

今回の業務は、今日が休日ということもあり。悪酔いする客が多くて大変だった。

飲んで忘れようとする気持ちは僕にはわからない。なぜなら、僕がお酒に弱くて飲んだら気持ち悪くなるだけだからだ。


スナックや居酒屋が立ち並ぶ路地を進んで、路地を抜けた先にある交差点をまっすぐ進み、公園を抜けた先にある少し古めのアパートの105号室。そこが僕の家だ。

大家さんが、若い俺のために一番端の部屋にしてくれたのはいいのだけれど呼ぶ友達がいないので、まず騒がしくなることはないだろう。なんか、好意を無駄にしてしまったようで申し訳ない気持ちもある。しかも、隣と上の部屋は空室ときた。まぁ、騒いでも問題なし。隣とか上の階の騒音もないから快適だから全然いいのだけれど。

古いアパートなので、鍵ももちろん差し込んで回すタイプのやつだ。鍵を開けて、部屋の中に入る。当然だが、真っ暗で何も見えない。

大体このあたりだろうと、スイッチがあるであろう場所に手を伸ばし、感触があったのでカチリ、と電気をつけた。


「ふぅー…。ただいまぁ」


と、誰もいない部屋に向かって帰ってきたぞと報告をする。返事がないことはわかってはいるが、やはり少し寂しいものがあるな、と感じた。


靴を脱いで、リビングの電気をつける。目の前にはいつもと変わらない殺風景な部屋が広がっているはずだった。だが、そこには異質な雰囲気を出す箱が一つ、部屋のど真ん中に置かれていた。

大きさはちょうど人が膝を抱えて入れるくらいだろうか。大きく、そして真っ黒に塗られている。素材はおそらく段ボールなのだろう、白いテープで蓋がしてある。送り状らしきものも確認できるが、いかんせん不気味すぎるので近づきたくない。

とりあえず、不審物なのは確かなので警察に連絡をしようとスマホを取り出した。


ロック画面からホーム画面を表示させる。と、いきなり知らないアプリが起動した。入れた覚えも、見たこともないアプリだ。

いよいよ、何かがおかしいと。頭の中で警報が鳴り響いているが、僕は今起動したアプリのローディング画面を見ることしかできない。

アプリのローディングが終わった。それと同時に、黒い箱の隙間から、微量の煙らしきものが出てきているのに気が付いた。気が付いただけで、僕は混乱と恐怖で動けなかった。もしあれが何かが燃えている煙なのならば、消さねば。と頭の片隅で考えていた。


ガタッ、と箱が大きく揺れた。もう、僕の頭の中は自分でも何を考えているのかわからないくらいぐるぐるなので、見ていることしかできない。

と、突然箱の中からこれまた真っ黒な日本刀のような形をした刃物が飛び出てきて箱を切り裂いた。

ああ、僕はきっとあの刃物であの箱のように切り裂かれて終わるのだ。と、思っていると箱の中から人が現れた。

驚いて固まっていた僕だったが、箱から出てきた人の顔を見た瞬間思わず叫んでしまった。


「か、神谷先輩?!!!」


そう、箱の中から出てきた人は三年前忽然と親族もろとも姿を消した神谷一家の一人。神谷 慎仁。先輩にそっくりだった。


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