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虚偽恋ごっこ  作者: 萌
9/22

それぞれの想い(3)


朝。

今日は体育館を他の部が使用する日であるため、バスケ部は外で校内の周りを走っていた。

別に顧問の先生もいないため、男子バスケ部はゆるーく、ゆったり走っていた。

「いやぁー、しっかし、あついなぁー。椋の力で何とかして。」

「何とかできるなら既にもうやってるな。」

「そうだな〜。・・・俺は今、この手に何か力が欲しいな。」

「権力とかか?」

「いや、そういうんじゃなくて、手にグッと力を入れたら、氷や雪が出てくるとかさぁ・・・」

「あー。死んでも無理だわ」

「えぇ〜。」

俺は、ゆるすぎるくらいに、ゆるい練習をしながら、ゆる〜い会話を瞬とやりあって楽しんでいた。

・・・にしても、

「本当に暑いな。」

瞬が魔法の手が欲しいならば、俺は権力が欲しい。(そしたらすぐに各教室にエアコンをつける。)

「あぁ。暑い。しかし、夏休みの練習はさらに暑い中やらされるぞ。今年こそは死ぬかもな。」

「そうだな。」

と、その時、後ろから1人、全速力で俺と瞬の横を走って行った。熱風が少し、俺らの頬を掠めた。

「・・・おぉ。先輩。速いな。」

と、そんな走っていく背中を見ていた。

そうか。この秋季大会でもう先輩は引退だ。

だから、負けて、すぐには終わりたくないんだ。

「ーー先輩のためにも走って、体力つけて、頑張るか。」

横にいる瞬がポツリと言った。

「おう。」

少し、速度を上げて走り始めた。

あと秋季大会まで3ヶ月ちょっと。





練習が終わり、バッシュを手にし、校舎内に戻っていた。

「ん・・・。なんだこれ、手紙?」

下駄箱のところで瞬がそう、1人呟いたのを聞き逃さなかった。

「ラブレターか?」

「さぁ?分かんねえよ。・・・えーっと、宛先は・・・。」

「・・・・。」

胸が痛むのを感じた。チクチクと。


藤川可蓮 だった。


瞬は俺の顔をチラリと見、手紙をポケットの中にしまいこんだ。

そして、何事も無かったかのように、俺にいつも通り接してくれた。

・・・別に、想いを伝えない自分が悪いし、そもそも瞬のことを好きということは知っていた。

しかし、その行動は、なんだか瞬に同情をされた気がして、少しモヤモヤした。











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