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虚偽恋ごっこ  作者: 萌
2/22

好きって何ですか?(1)


「椋ー。」

そんな聞き慣れた声がした。

1限目の授業が終わったところで 中原 瞬 が俺の席へとやってきた。

「何?」

と俺は言いながら次の授業の教科書を出していると、

「フッ。」

と俺の耳に息を吹きかけてきた。

「うわっ!!」

即座に片手で耳を塞いだ俺は、反射的に教科書から手を離してしまった。

瞬は俺の反応を見て、ニヤつきながら投げkissをし、

「ローズの吐息のプレゼントさ。」

などと馬鹿げたことを言って教室から出て行った。きっと他の奴らにもちょっかいをかけに行ったのだろう。

「あいつめ・・・。」

ため息をつきつつ、落とした教科書を拾っていると、周りのクラスメイトが、

「相変わらず中原面白いよね。」

「それな。ってか、石田めっちゃ愛されてんじゃん。仲良いよね。」

と、言っているのが聞こえてきた。


ーーーーいやいや、冗談じゃない。確かに一緒にいて楽しいけども、あれはあれで苦労しているんだ。こっちの身にもなってほしい。


心の中で毒づきながら、席に座った。





2限目の始まるチャイムが鳴り、担当の先生が入ってきた。

「今日は中原は欠席か?」

見ると、瞬の席には誰も座っていなかった。

・・・・通りで長い間静かだと思った。

全く、あいつは何をしているんだよ。と思いながらも、特に気にすることはなく、ノートと教科書を開いていると、

「先生!!すいません!!遅れました!!」

呼吸を乱しながら瞬はドアを強く開けて入ってきた。

そして、それだけを言うと、何事もなかったかのように平然と席に座って、「さあさあ 先生、何をボーっとしているんです?授業をしましょう!」などと言い始めた。

周りは笑いに包まれた。

先生は呆れながら、「どうして遅れたのか理由を言ってから席に着きなさい。」と言った。

「えーっと、そうですね。ちょっと色んな人に僕のローズの吐息をプレゼントしていました。」

そんなふざけた反省を言う瞬に、またもや笑いに包まれる。「おい、中原ー。」と、意味もなく名前を呼び、ふざけ始める男子もいた。

「ちょっとみんな!静かにっ!」

この五月蝿さを強引に先生はやめさせようとしている。

俺はそんな光景を頬杖をついてただボーっと見ていた。


ーーー中原 瞬。中学2年生。同い年。

バスケ部でセンスがあり、上手。すらっと背が高く、ルックスも良し。面白いため、男女ともなくモテる。頭はそこまで良くない。(平均そこそこ)



そんな瞬に比べ、俺は、同じバスケ部所属だが、背も低く、一応 瞬と同じくレギュラー入りを果たしているが、上手さでは瞬には劣る。ルックスも別にカッコ良くはない。どちらかといえば、可愛いと言われる方が多々ある。


・・・・この差って何なんだ?神様って不公平だ。

授業が進んでいく中、ボーっと、瞬のことを見ていた俺に気づき、瞬はヒラヒラと俺に手を振ってきた。

一応俺も手を振り返していると、先生に見られてしまっていた。

「こら。ちゃんと話を聞きなさい。遊ぶんじゃない。」と怒られてしまった。

「いやぁ、先生、俺と椋、愛し合っていてラブラブですから、今、手話で愛の告白をしてたんです。」

「なっ・・っ!」

「何言ってんだ。お前は。ラブラブなのはわかったが、授業は進めていいか?中断させるなよ?」

「いいですよ。な、椋?」

「あ、あぁ。」

瞬の先ほどの言葉に対し、ツボにはまったらしく、かすかにクスクスと笑い声が聞こえてきた。

俺はくしゃりと頭をかき回した。





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