初めまして、私はエミリー
少しエミリーの単独のお話を書いてみました。一応ブライザーを外側から見たお話にもなります。ブライザーでは書ききれなかった魔法少女隊の激闘をお楽しみ下さい。
私の名前はエミリー、このルシュタールで最大の貴族、カイエン家の長女よ。
私が3歳の頃に弟が生まれたわ、最初は可愛い弟だと思ったけどトンデモナイアホだったのよね。
それでも可愛い弟に違いないし、まぁ可愛がって上げても良いわよ。
このお話はこの世界を救えブライザー! の中で主人公の姉であるエミリーを主人公にした外伝的なお話である。クレイの暴虐の影で彼女の日常も破天荒に満ちていた。このお話はそのエミリーの破天荒な日常を描いたものである。
「これがクーちゃん?」
「ええそうよ、エミリーの弟よ」
初めてあの子と会ったのはお母様が抱っこしていた状態であったのだけど
「えへへ、クーちゃんこんにちわ、わたしがおねえちゃんだよ」
「あう、あういう」
「ねぇお母様、この子挨拶してくれたよ」
「本当ね、クーちゃんがおねえちゃんよろしくだって」
正直3歳の頃なんてほとんど覚えてないけど、あの子と会った時は覚えてるわ。あの時間違いなくわたしの言葉に反応したのよね。そして始まるあの子に振り回されるお父様とお母様と家人の者達、今考えると異常だったのよね。
「クーちゃん、あそぼ!」
「あう、あい!」
「えへへ、今日はね、これだよ」
あの時私はボードゲームを持って行ったの、お父様に教えてもらってルールも理解していたからあの子に教えてあげようとしたのよ、そしたら
「うわーん、あーー」
「あらあらどうしたのエミリー」
「クーちゃんが、クーちゃんが」
「だぁ! あぶ」『楽勝やけど子供泣かせでもうたな、反省反省』
「あら、まさかゲームで負けたの?」
「クーちゃんが卑怯なの、これはこうしちゃいけないの」
「えっと、あら」
そうよ完膚なきまでにやられたわ、ルール上は問題ないけどやると軽蔑される裏技をまさか最初からやるなんて思わないじゃない、本当にあの時は酷い目にあったわ。
それでも赤ちゃんの頃はおとなしい子だったのよね、何処に連れてっても泣かないし、暴れないし、それどころかオムツの時ですらメイドを呼んでからしてたし、ていうかトイレに行ってたような? ともかく赤ちゃんの頃は普通だったわ。
「クーちゃん、今日はねおねえちゃんが良いこと教えてあげる」
「あーい」
私は覚えたての文字をあの子に自慢しに行ったのよ、でもあの子は
「えっ? これ間違いなの、でもこれは」
「あう、あう、あーだ!」
なんで文字を既に完璧に書けたのよ、あの後両親に行ったらクレイは天才だ! って家中大騒ぎだったわ。でもあの子が大人しかったのは一歳までだったわね。
あまりに普通に大人と混じって会話するからあの子の年齢忘れることもあったわ。
「うりゃー!」
「ああ坊っちゃまおやめください、壊れてしまいます」
「そなんか、結構脆いもんなんやな」
メイドを振り回してね、あの子付きのメイドは大事な跡取りだから一流の騎士をわざわざメイドにして護衛も兼任してたのに
「よし、ついて来いセリア、競争だ!」
「ああ、そっちはダメですよ」
なんで一歳児が騎士として名を馳せたセリアより速く走っていたのかしら? 本当に不思議な子だったのよね。
でも私がショウガッコウに行く頃はあまり接点は無くなってきたかしら?
まああの子がいなくなったとか騒ぎは無くならなかったけど
そんな私もショウガッコウに入学した時は驚いたものよ、普通の子供ってあんなに普通だったんだから
「エミリー=セーラ=カイエンです。皆様よろしくお願いいたしますわ」
「よろしくお願いしますエミリー様」
「エミリー様はカイエン公爵のご令嬢なのね」
貴族の令嬢達との初めての挨拶、みんな私の周りに集まってきました。まあ親に仲良くするように言われたんでしょうけど、なんというか普通? でした。今なら判断できるけどあの頃の私に近い子供はあの子だけだったから、子供ってこんなにか弱いと信じられなかったものです。
でもショウガッコウは楽しかったわ、だってみんなと仲良く出来たもの、それにあいつにも出会えたし
「お前がカイエン公爵家の娘か!」
「む、なんですの貴方は」
「俺か? 俺は【グイス=タイガー=ルッドマン】 ルッドマン公爵家の跡取りだ」
あの頃のあいつは、スッーゴク生意気だったわ。でも……
これはエミリーの物語、エミリーが生きた歴史の物語である。