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猫耳少女と帝国軍

この部分は三人称になります。


 村は、紅蓮の炎に包まれていた。

 炎の中を、住民達は逃げまどう。

 だが、必死の思いで逃げ延びてきた人々に、無慈悲な銃弾の雨が降り注いだ。


「やめて!! 」


 凛とした、少女の声が響きわたった。

 声の主は、白い貫頭衣をまとった十五~六歳ぐらいの少女。

 栗色のショートボブから猫耳が覗いている。

「あなた達の狙いは、あたしでしょ!! 村の人たちに手を出さないで」

 悪鬼の如く、村人に銃撃をしていた軍団の攻撃がピタッと止まった。

 隊長とおぼしき男が、兜の中で邪悪な笑みを浮かべ、頭に猫耳のある少女を見つめた。

「やっと出てきたか。嬢ちゃん」

 隊長は、現地語で言った。

「最初から素直に出てくれば、村が焼かれる事も無かったのにな」

 嘘八百である。

 少女を確保できたら、この男は村を焼きつくして略奪の限りを尽くすつもりでいた。

「大人しく同行します。ですから、村の人たちを逃がして下さい」

「ダメだと言ったら?」

「魔法で、あなたを殺します」

 隊長は苦笑を浮かべた。この少女が魔法を使えるという情報はもっていたが、それがどんな魔法かは聞いていない。

「おお。怖い怖い。おまえは、魔法で人を殺せるのか? では、村人を逃がした後で、おまえがそれを使わないという保証はどこにある?」

「あたしの魔法では、あなた一人しか殺せません。その後であたしは、あなたの部下に殺されます」

「いいだろう。おまえら! 村人を逃がしてやれ。でないと俺が殺されるからな」

「え? 村人を殺したらダサエフ隊長を殺してくれる。じゃあ、村人を殺さないと」

 よけいな軽口を叩いた部下に、ダサエフは銃を突きつける。

「なんか言ったか? てめえ」

「じょ……冗談ですよ」


 ズキューン!!


 銃声が響いた。

 軽口を叩いた部下の鎧に、小さな穴が開いている。

 穴から血が流れ出し、やがて男は倒れた。

「笑えねえ冗談だな」

 数分後、村人達は森の中へと消えていった。

「さあ、約束だ。俺たちと来てもらおう」

 少女は、馬車に乗せられ連行されていく。

 だが、一時間後、ダサエフ達が馬車の中を見たとき、少女の姿はどこにもなかった。

次回から、海斗の一人称に戻ります。

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