田中省三 70歳 強制的に再就職させられる
仕方がないので翌日はシルバー人材センターに行った。
とにかく営業と事務しかやったことがないので、その範疇で考えるしかない。
「事務職はないですね。軽作業はありますが」
「もう老人ですからな。体を使う仕事はどうもね」
「大変お元気そうに見えますが」
家に帰って美佐子に言うとまた怒り狂った。
「大体事務とか言うけれど、パソコンは使えるんですか」
「あれは目がチバチバしてな」
「そんなことでよく首にもならずに定年まで勤めましたね。もう才能ととしか言いようがない」
それ褒めてるの。
「シルバー人材センターには知り合いがいるので、私が明日行ってきます」
それで割烹料理店、配送及び雑用という仕事を得たのだが。
運転はできるのだよ。しかしこの雑用というのは何なのだ。
「明日は面接ですから、聞かれたこと以外はしゃべらないでください。話さなければ普通の人に見えますから」
俺は普通じゃないのかよ。
とにかく面接はクリアしたのだよ。